Animal Collectiveのニューアルバム。一昨年新作を出したばかりなので、かなり短いスパンでのリリースとなる。こういう場合、勢いが続くうちにどんどんつくってしまおうという意図が感じられることがあるが、今作はそういうことでもないようだ。
ポップであるがどこか得体の知れないアニコレワールドは健在。でも、これまでと比べてずいぶん聴きやすくなったような印象を受ける。メロディーが重視されてきたというか、これまではあまり形にこだわらずにきていたものが、今作ではある程度まとめられているように感じる。曲の尺も割とコンパクトだ。この辺は物足りなさを感じる人もいると思うが、個人的にはこの方が彼らの良質のメロディーをより楽しめると思う。
ただ、根幹の世界観は変わらずに、The Beach Boysの「Smiley Smile」またはThe
Beatlesの「Revolver」のごく一部を切り取って、純粋培養したようなサイケでカオティックな世界がただただ広がっている。サウンドの構造は、すごく入り組んでいるというわけではない。この手の音楽としてはトラックは割とシンプルだと思う。
いや、シンプルというよりも「自然」という表現の方が当てはまるかもしれない。フリーキーでありながら、実に自然に見えてしまうところがある。自然界に存在しているかのように無駄が無く、有機的で生命力の脈がドクドクしてるんだけど、どぎつくない。恣意的なものを全く感じないのだ。このオーガニックさはそう簡単に出せるものではない。
その「毒」の無さを物足りなく思う人もいるだろう。しかしながら、このように自然体を今貫けるロックバンドはなかなかいないのではないだろうか。強いて挙げるなら、Fleet
Foxesあたりにも通じる揺るがぬ世界観を持ったバンドだと思う。
おすすめ度★★★★(20/02/09)
My Girl