27年ぶりの共演アルバム。この二人の共演となると、環境音楽的なものかアンビエントな方向へ行きそうだが、驚くほどしっかりとした歌ものアルバムになっている。
全編がヴォーカル入りで、バーンは大人の風格ともいうべき柔らかいヴォーカルを披露している。イーノが曲という形にしないで録り貯めていたものに、詞とメロディーをバーンがつけていったとのこと。美しいメロディーも魅力的であるが、僕はこのバーンのヴォーカルにすごく惹かれる。時に朗々と、時にファンキーに様々な曲を歌いこなしている。この辺の緩急の付け方はさすがベテランといった感じ。
そして、今作の特質としてゴスペル色が強いことがあげられると思う。バーンはこのアルバムを「エレクトロニック・フォーク・ゴスペル」と称している。実にぴったりと当てはまる言葉だと思う。他にもいろいろ言葉をつけたくなるが、あくまで基調はゴスペルで、そこに対して稀代のミュージシャン2人が味付けをしているのだから、そこは一般的イメージとは異なるものになっていることは想像が付くだろう。
このアルバムは、イーノには申し訳ないが、バーンの類い希なるセンスが爆発しているアルバムだと思う。イーノのバックトラックの中にはもろアンビエントなものもあったりするのだが、実に見事にメロディーを乗せることに成功している。
派手さもないし、カタルシスを感じるような場面もないが、本当に心にしみるいいアルバムだと思う。今、「癒される音楽」を挙げるとしたら、間違いなくこれをおすすめする。
バーンとイーノは飽きっぽい性格で、同じことを繰り返さない主義で知られているらしい。ということはこの路線のアルバムは、もう2度と作られることはないのだろう。そこが残念だ。
おすすめ度★★★★☆(15/12/08)
Home
Strange
Overtones

以前から評価の高かったバンドであったが、個人的には聞いたことがなかった。今作が初体験となりますが、なかなか良いです。サイケデリックなサウンドをメインとしながらも、曲調がバラエティーに富んでいて、ツルッと聞けてしまいます。また、リアム・ギャラガーやポール・ウェラーのようなアクの強いゲストを迎えても、ヴェガス色が失われることがないのも大したものです。この辺はケミカル・ブラザーズと肩を並べるくらいの強度といえます。思ったよりもずっと「歌もの」度が強く、幅広いリスナーに支持されそうな気がするのですが、あんまり話題になっていないような。残念です。
まるで女性ヴォーカルのような美し声、透明感のあるサウンド、某雑誌では「ラーズ以来の美メロ・ギター・ポップ」などと紹介されていたUK新人。これは買わずにはいられない。おまけにラフ・トレード。かなりの期待を持って聴きました。アルペジオが特徴的なギターはバーズのそれよりもサイケデリックさを醸し出していて、それが美しいメロディーとともにバランス良くなっている感じである。また、バンドのメンバーの趣味が雑多なのも影響しているのか、先人のいろいろなネタを使ってドリーミーな感じをうまく演出している。なかなか良くできたアルバムだと思う。
Parlophoneの新人、The Departure。昨年あたりからの流れであるNWの現代的解釈によるギターロックの一派であるとは思う。フランツが知性と肉体性、ブロック・パーティーが攻撃性と叙情性を強調したサウンドを作り上げていったのに比べると、The
Departureはそういうものがあまり感じられない。割と素直にNWをとらえ、自分たちが良いと思った要素を曲とのマッチングを考えながら取り入れていっているという印象だ。だから曲によってフランツであったり、ブロック・パーティーだったりする。Gang
Of Fourであったり、The Killersだったりする。ただ総じて雰囲気としてはダークさで覆われていて、そこが魅力的であったりする。だから最初はNYのバンドなのかと思った。

Divine Comedyの音楽はロックファンにとっては好き嫌いが分かれそうな音楽である。1曲目「Absent
Friends」を聴いた時点で気に入る人は気に入るだろうし、馴染めない人はその後聴こうともしないだろう。
悲しみを表現する方法は「涙を流す」という手段以外にもたくさんある、Dovesとはそんなことを感じさせてくれるバンドである。
Doves、4年ぶりの新作。Dovesとして活動する前にテクノ・ユニットとして活動していたことはよく知られているが、そのころから数えると相当長いキャリアを積んでいることになる。マンチェスターというシーンの中心的都市で、マイペースに音楽活動を続けていること自体すごいことなのだが、良質な作品を生み続けることはもっと賞賛に値する。実際Dovesとしてデビューし、「Lost
Souls」が絶賛の嵐で迎えられたときから、彼らが駄作を生み出したことはない。2nd、3rdとそれぞれ独特の方向性を出しながら、シーンに左右されることなくDoves印のサイケデリック・ミュージックを作り出してきたその姿勢も、かっこいいなと思う。
ドラゴン・アッシュ、久方ぶりのアルバム。この間もシングルはでていたが、突如アルバム制作が無期延期となった。その真意はインタビューからもいまいち知ることができなかったが、どれだけ待たされてもいい作品を作ればよいと思っていたし、実際それだけの作品に仕上がったと思う。