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Review -D 

David Byrne&Brian Eno/Death Cab For Cutie/Death In Vegas/Deerhunter/Delays/The Delgados/The Departure/Dinosaur Jr./Dirty Pretty Things/The Divine Comedy/Doves/Dragon Ash/

David Byrne &
Brian Eno
Everything That Happens Will Happen Today

Surf’s Up 27年ぶりの共演アルバム。この二人の共演となると、環境音楽的なものかアンビエントな方向へ行きそうだが、驚くほどしっかりとした歌ものアルバムになっている。

 全編がヴォーカル入りで、バーンは大人の風格ともいうべき柔らかいヴォーカルを披露している。イーノが曲という形にしないで録り貯めていたものに、詞とメロディーをバーンがつけていったとのこと。美しいメロディーも魅力的であるが、僕はこのバーンのヴォーカルにすごく惹かれる。時に朗々と、時にファンキーに様々な曲を歌いこなしている。この辺の緩急の付け方はさすがベテランといった感じ。

 そして、今作の特質としてゴスペル色が強いことがあげられると思う。バーンはこのアルバムを「エレクトロニック・フォーク・ゴスペル」と称している。実にぴったりと当てはまる言葉だと思う。他にもいろいろ言葉をつけたくなるが、あくまで基調はゴスペルで、そこに対して稀代のミュージシャン2人が味付けをしているのだから、そこは一般的イメージとは異なるものになっていることは想像が付くだろう。

 このアルバムは、イーノには申し訳ないが、バーンの類い希なるセンスが爆発しているアルバムだと思う。イーノのバックトラックの中にはもろアンビエントなものもあったりするのだが、実に見事にメロディーを乗せることに成功している。

 派手さもないし、カタルシスを感じるような場面もないが、本当に心にしみるいいアルバムだと思う。今、「癒される音楽」を挙げるとしたら、間違いなくこれをおすすめする。

 バーンとイーノは飽きっぽい性格で、同じことを繰り返さない主義で知られているらしい。ということはこの路線のアルバムは、もう2度と作られることはないのだろう。そこが残念だ。

おすすめ度★★★★☆(15/12/08)

Home


Strange Overtones


One Fine Day


Death Cab For Cutie
Plans
 デスキャブ、メジャー移籍第一弾。これまで「良質なギターロック」という印象が強かった彼ら。で、その良質たる所以は、確かな演奏力と流麗なメロディー。アルバムごとにスタイルは若干違っていたが、バンドの良心がよく伝わってくる力作を発表してきた。メジャー移籍と言うことでも、僕はそんなにサウンドが変わることはないと思っていた。変に売れ線狙いになるような、魂を売り渡すような事はしないだろうと思っていた。
 しかし、このアルバムでは劇的にサウンドスタイルが変わっている。とはいっても、売れ線狙いでも魂を売り渡したようなものでは決してない。これまでのギターロック的要素やエモっぽさが影を潜め、代わりにメロディーの美しさがぐんと引き出される結果となった。「Marching Bands Of Manhattan」という至高の名曲で幕を開けるこのアルバムは、デスキャブ史上最も美しい一枚となった。1曲1曲が素晴らしいメロディーであるのは彼らにとっては当たり前のことだが、どれも根底にポジティヴな力強さを秘めている。だからただ美しいのではなく、聞いているうちに昂揚するものを感じずにはいられない。これまで通りのフォーマットで作ることもできただろう。しかし、あえてそうせずに、今作ではギターも「一つの楽器」として並列的に捉え、本当に必要な音だけで構成していったやり方は僕は正しい選択だと思う。
 たしかにあのツインギターはデスキャブの大きな魅力であっただろう。そこに彼らの最大の価値を見いだす人にとっては辛いアルバムかもしれない。しかし、これだけ美しい曲が並びそこに内包された力強さを見せてくれると、何も言えなくなる。出るのはため息ばかりなり。

おすすめ度★★
★★☆(05/9/23)
Narrow Stairs

 Death Cab For Cutieの新作。前作「Plans」は彼らの作品の中で初めて「素晴らしい」と思ったアルバムで、全米1位にもなった。たおやかで美しいメロディーライン、シンプルなギターサウンドは新鮮さはないものの、エヴァーグリーンな輝きを持っていて、ギターロックの持つ普遍的な魅力をダイレクトに伝えてくれた作品だった。
 で、今作であるが、これまた「ギターロック見本市」とでもいうような、「自分たちにできる範囲のことを目一杯やっている」感に満ちた作品となった。
 「Bixby Canyon Bridge」はオープニングを飾る曲。このギターのラウドな感じが、以前の彼らを彷彿とさせるのだけど、続く「I Will Possess Your Heart」から、がらりと印象が変わる。この曲はネットでいち早く公開されていた曲。8分以上ある大曲で、独特の浮遊感が心地よい。
 「You Can Do Better Than Me」はブライアン・ウィルソン直系の60年代風ポップ。「Your New Twin Sized Bed」はやや古典的なアメリカンロックにも聞こえる。
 これまでの説明からもわかるように、統一したキーワードは「ギターロック」という言葉しかないくらいに、内容が多岐にわたっている。この統一感のなさがどうとられるかで、印象が変わると思うが、僕はかなり好きである。というのは、1曲1曲がすごく練られていて、完成度が高いからだ。あれこれ試していても、無駄な要素がほとんどみられない。実に必然的な展開を見せる曲ばかりなのだ。
 個人的にはシンプルなポップ「No Sunlight」「Long Division」、デスキャブ流ラーガ・ロック「Pity And Fear」が好き。「ギターロック」と聞くだけで素通りできない人には間違いなくお勧めできるアルチザン・アルバム。

おすすめ度★★★★☆(08/5/25)

I Will Possess Your Heart



Death In Vegas
Scorpio Rising
 以前から評価の高かったバンドであったが、個人的には聞いたことがなかった。今作が初体験となりますが、なかなか良いです。サイケデリックなサウンドをメインとしながらも、曲調がバラエティーに富んでいて、ツルッと聞けてしまいます。また、リアム・ギャラガーやポール・ウェラーのようなアクの強いゲストを迎えても、ヴェガス色が失われることがないのも大したものです。この辺はケミカル・ブラザーズと肩を並べるくらいの強度といえます。思ったよりもずっと「歌もの」度が強く、幅広いリスナーに支持されそうな気がするのですが、あんまり話題になっていないような。残念です。
 おすすめ度★★★★☆(02/12/23)


Deerhunter
Microcastle

 アメリカ、アトランタ出身のDeerhunter、3rdアルバム。Pitchfolkで絶賛されるなど、これまでも高い評価を受けてきたようだが、個人的にはこのアルバムがDeerhunter初体験。
 いきなりドラッギーなギターで幕を開ける。ここから怒濤のサイケデリックワールドに突入かと思いきや、急にギターノイズが止み、アルペジオが美しい2曲目「Agorafobia」へ。繊細でメランコリックな歌が紡がれていく。
 この通り、浮遊感のあるトリップサウンドに終始するというわけでもなく、ノイズがたたみ掛けるシューゲイザーな曲もあれば、ガレージっぽく武骨なスタイルも見せる曲もある。全体を通して言えるのは、メロディーが意外とポップで、想像していたよりもずっと歌ものの要素が高い。The Cureが新作で見せた、漆黒の闇に咲く妖艶な花のような美しさを持ったアルバムだと思う。
 また全体を包むサイケな雰囲気も、ムンムンというわけではなくてほどよく醸し出している感じ。まとめるとかなり「おいしいどこ取り」サウンドの様にもとれる。ただ、素晴らしいのはその「おいしいどこ取りを」見事に自分たちの音へと昇華させているところ。○○風であっても、結果的にできあがったものは紛れもなく自分たちのサウンドなのだ。
 聴きどころは、表題曲「Microcastle」。ロード・ムービーのサントラのように緩やかな歌から、徐々にエモーショナルな展開を見せていくメロディーが見事。そして、その後に続いていく「Calvary Scars」「Green Jacket」の情念を感じる流れが美しい。
 なお、僕の買った輸入盤は2枚組で、「Weird Era」という本編よりも曲数の多い盤がついています。こちらは詳しいことは謎ですが、こちらも本編に負けないくらい良いです。買うなら、この2枚組をおすすめします。

 おすすめ度★★★★☆(26/11/08)

Agoraphobia

Microcastle


Delays
Faded Seaside Gramour
 まるで女性ヴォーカルのような美し声、透明感のあるサウンド、某雑誌では「ラーズ以来の美メロ・ギター・ポップ」などと紹介されていたUK新人。これは買わずにはいられない。おまけにラフ・トレード。かなりの期待を持って聴きました。アルペジオが特徴的なギターはバーズのそれよりもサイケデリックさを醸し出していて、それが美しいメロディーとともにバランス良くなっている感じである。また、バンドのメンバーの趣味が雑多なのも影響しているのか、先人のいろいろなネタを使ってドリーミーな感じをうまく演出している。なかなか良くできたアルバムだと思う。
 しかし、個人的にはこう胸に迫ってくるものがなかった。例えばThrillsには自分たちの今ある現実をポップに塗り替えてしまおうという、「ドリーミー」であることへのしっかりとした理由があった。その理由や衝動に動かされる様に僕は感動を覚えた。でもDelaysにはあまりそういったものを感じないのである。音はいいんだけど、スルスルと通り抜けていく感じ。もう少し彼らなりの「毒」のようなものが出てくるとおもしろくなると思うのだが。 
おすすめ度★★★(04/2/07)
いる

The Delgados
Universal Audio
 やはり信頼できるブランドのようなものがロックの中にもあって、僕が特に信用しているのが「グラスゴー一派」である。とにかく、このグラスゴー一派というのは素晴らしい曲を書く。Pastels,Teenage Fanclub、Mogwai,ベルセバ、最近ではスノウ・パトロールなど、いままで一度たりともがっかりさせられたことがない。そして、このDelgadosもそうだ。実はこれまでほとんど聴いたことがなかった。雑誌からの情報だと前作はデイヴ・フリードマンがプロデュースしていたと言うことで、いろいろなアイディアを駆使したウォール・オブ・サウンドが特徴的であったようだ。
 しかし、今作はプロデューサーが変わったこともあって、音の装飾は出来るだけ抑えられている。しかし、その分歌が非常にダイレクトに響いてくる。様々なタイプの曲を書けるようで、3曲目「Everybody Comes Down」はベルセバっぽいポップさがあるし、5曲目「Get Action」は明らかにビートルズであって、そのどれもが独特の癖を持っている。それらの楽曲を朗々と歌い上げるのではなく、メロディーをなぞるようなヴォーカルが、彼らの紡ぎ出すメロディーにはすごくマッチしている。グラスゴー一派ならではの、冬の澄んだ空のような美しさやキュートさがこのアルバムにはたくさん詰まっている。ただ、グラスゴー好きだけにとどまるのはもったいない気もする。タイトル通り「全世界標準」となりうるクオリティーを持った作品だ。

 おすすめ度★★★★☆(04/11/18)


The Departure
Dirty Words
 Parlophoneの新人、The Departure。昨年あたりからの流れであるNWの現代的解釈によるギターロックの一派であるとは思う。フランツが知性と肉体性、ブロック・パーティーが攻撃性と叙情性を強調したサウンドを作り上げていったのに比べると、The Departureはそういうものがあまり感じられない。割と素直にNWをとらえ、自分たちが良いと思った要素を曲とのマッチングを考えながら取り入れていっているという印象だ。だから曲によってフランツであったり、ブロック・パーティーだったりする。Gang Of Fourであったり、The Killersだったりする。ただ総じて雰囲気としてはダークさで覆われていて、そこが魅力的であったりする。だから最初はNYのバンドなのかと思った。
 曲もなかなかポップだし、乾いた叙情性をたたえたギターもかなりかっこいい。ただ、よくまとまっているという点がやや物足りなく感じることもある。そこは次回に期待と言うことでいいだろう。

おすすめ度★★
★☆(05/8/11)

Dinosaur Jr.
Farm
Surf’s-Up Dinosaur Jr.のニューアルバム。再結成後も、ルーがなかなか曲を作ってくれないなどJがこぼしているのを聴くと、「さほど長くは続かないのでは」と思っていた。しかし、こうやって「これぞダイナソー」と言うべき貫禄十分の作品を作り上げてくれた。

 まずダイナソーサウンドというと、殺伐感漂わせる轟音ギターであるが、もちろんこのアルバムでもそのギターは健在である。80年代後半、名作を連発していた頃を思い起こさせるくらい弾きまくっている。ただ、これまで感じた「ささくれだったもの」が、今回はやや控えめのように感じられる。この「ざらつき感」が押さえられている代わりに、あふれ出しているのはやり場のない悲しさを象徴するようなブルース。単純な表現をすると「ギターが泣いている」。延々続くギターソロに、これまでだと陶酔感や甘美なものを感じていたのだが、今作では救いのなさやうちひしがれているような絶望感みたいなものが感じられるのだ。

 そして、メロディーもギターに負けず劣らず「泣いている」ように聞こえる。いつも以上にそういう曲が多いせいか、アルバムのトーンもいつもよりは低めな感じである。一番好きなのはPlansという曲。哀愁あふれるヴォーカルとメロディー、やり場のない悲しみを叫ぶギター。「悲哀」という感情を突き詰めたギターサウンドの究極系ともいえる曲。今回のアルバムは従来のタイプの曲よりも、こういうミドルテンポで感情を絞り出すように歌う曲の方がいい。

なんとなくであるが、大人の余裕を感じさせるアルバムである。ただバカでかい音でギターをかき鳴らすのではなく、抑揚を上手くつけながら聴かせるところはしっかりと聴かせる。ちょっとスリルがないのが残念ではあるが、どこから切ってもダイナソーなアルバムであることは確か。

 おすすめ度★★★★(30/06/09)

 


Dirty Pretty Things
Waterloo To Anywhere
 元リバティーンズのカールついに始動。ピートがベビシャンという意のままのバンドを使って奔放に表現している姿をカールはどう見ていたのかと思うが、ウォータールーの自宅で曲作りに没頭していたという言葉通り、本当に素晴らしい楽曲が並んだ一枚となった。
 1曲目「Deadwood」からタイトなロックンロール・ナンバーが並ぶ。例えて言うならリバの1stの手触りに近いが、サウンドや楽曲の骨組みが以前よりもずっとビルドアップされていると思う。でも、カール独特の泣きのセンスも健在で、3曲目「Bang Bang You're Dead」の哀愁漂うイントロからなだれこむ感じは上手いなーとただただ感動。そして、僕が注目したいのはギターワーク。ひたすら前につんのめっていくような攻撃的なカッティングがこのバンドの独特のグルーヴを生み出している。そこに僕はダイナミズムを感じてしまう。
 それでも、気になってしまうのが歌詞の内容。「俺にはずっと解っていた/でもそんなこと信じたくなかった/そこには恨みと怒りと嘘しか存在しない/(中略)なぜ世間は俺たちを放っておいてくれないんだ」(Bang Bang You're Dead)これ、露骨すぎないですか?そんな内容があちこちの楽曲に。サウンド的にはかなり吹っ切れたように見えるけど、個人的にそこだけがいただけなかった。ロックンロールは愛するものを攻撃するために消費されるものではないと思うから。

おすすめ度★★
★★(06/5/6)
Romance At Short Notice

  Dirty Pretty Thingsのセカンド。個人的には、ベビシャンよりもDPTの方がずっと好きな自分は変わっているのだろうか?DPTのファーストは今でもよく聴くくらい好き。リバの持っていた「たたみかけるロックンロール」は、DPTの方に受け継がれているように見えるんです。不思議と。
 
そして今作だけど、いろいろなタイプの楽曲が増え、サウンド的にも幅の広がりを見せている。そして、カールのメロディーセンスはここでもかなりの冴えを見せている。カールの野心を感じるとともに、自らの持ち味をわかっていて、そこもしっかり見せているところが素晴らしい。
 
でも、リバの流れを汲んだようなアコースティックなナンバーが特に秀逸で、中盤のCome Closer、Faultinessと続くところがとても好きである。
 
シングルであるTired Of England (カール、ホーンのイントロ好きだね)は、まさにカールの真骨頂というべきシンプルなロックンロール。で、個人的には正直これが一番好きだったりする。

 
聴き手を飽きさせない音楽的な包容力を持ったアルバムだとは思う。ただ、すべてのアイディアが成功しているとも言えず、今回の挑戦はまだ「スタート」に過ぎない印象もある。今回生まれたような新たなタイプの楽曲をこれからどのように深化させていくかがポイントになるんじゃないかな。

おすすめ度★★★(08/05/08)

Tired Of England



The Divine Comedy
Absent Friends
 Divine Comedyの音楽はロックファンにとっては好き嫌いが分かれそうな音楽である。1曲目「Absent Friends」を聴いた時点で気に入る人は気に入るだろうし、馴染めない人はその後聴こうともしないだろう。
 前作「Regeneration」はナイジェル・ゴドリッチのプロデュースと言うことで彼の作品としては装飾の少ないものだったが、それがかえって本来の楽曲の良さを見事に引き立て、素晴らしいアルバムへと仕上がっていた。僕はそれまでの彼の作品はさほど好きではなかったが、このアルバムはよく聴いた。今まで、こてこてにデコレートされたケーキだったものが、乗っかっているチョコやクリームを取り払ったんだけど、実はスポンジだけでもおいしかったような、そんな感動があった。この新作は以前の彼の作風に戻った感じで最初の3曲は、楽曲は素晴らしくもこてこての「ストリングス」というデコレートが目立つ。ロマンティックで決して嫌いではないんだけど、この調子でずっと聴かされたら辛いなと思った。しかし、4曲目「Come Home Billy Bird」からは軽快なギターやドラムが入ってきたシンプルなポップソングを聴かせてくれる。結局トータルではストリングスばかりというのではなく、前作のような音数の少ない中で美しさを出しているナンバーや、思いっきりポップなナンバーもあって、バラエティーに富んだ形となっている。ニールを主人公とした短編集のような作品だ(今までのアルバムもたいていそうだが)。昔からDivine Comedyが好きだという人は買いだと思う。僕は少し物足りなさも感じたが(少々穏やか過ぎるところが)、「Absent Friends」というタイトルのセンスが好きだな。
 おすすめ度★★★☆(04/6/10)


Doves
Some Cities
 悲しみを表現する方法は「涙を流す」という手段以外にもたくさんある、Dovesとはそんなことを感じさせてくれるバンドである。

 Doves史上最もポップな作品であることは間違いない。力強いビートで始まる「Some Cities」、マイナー調のピアノとポップなメロディーの組み合わせが80年代UKポップを彷彿とさせる「Black And White Town」。この1,2曲目のインパクトというのが凄く強い。悲しみの果てともいうべき荒涼とした風景を描くバンドであっただけに、面食らう人もいるかもしれない。この後4曲目「Snowden」(doves流サイケ・ポップ)までの流れは、ライヴなら間違いなく盛り上がるだろう。メロディーがかつて無く前面に押し出され、明らかに「新境地」を狙っているようにも感じられる。しかし、5曲目以降はかつてのdovesを彷彿とさせる、「重たさ」が徐々に顔を出す。そういった意味でトータルな部分では、これまでのアルバムよりもやや後退した感じを受ける。でも、それは単純にサウンド面だけで感じたことであって、「Some Cities」でも「Some Cities Crush/Some Cities Heal/Some Cities Laugh/While Other Cities Steal/Can't Make You See?」と歌われているのだ。つまり最初から充分「重い」。歌詞を読まないと絶対に損である。

 彼らの凄いところは自分たちのメロディーが絶対的な必然性を持っているところだ。ただただ雰囲気をなぞるのではなく、自分たちの表現したい世界に対して真っ向から挑み、「これしかない」というメロディーを紡ぎ出すのだ。だから、ただ「美しい」と思うだけの音楽ではなく、聴き手の「感動」へと変わる音楽として機能しているのだ。ジャストなメロディー、ジャストなサウンドをビルドアップする力を今回のアルバムでも十分に発揮している。
 
おすすめ度★★★
★☆(05/3/26)
Kingdom Of Rust

Surf’s Up Doves、4年ぶりの新作。Dovesとして活動する前にテクノ・ユニットとして活動していたことはよく知られているが、そのころから数えると相当長いキャリアを積んでいることになる。マンチェスターというシーンの中心的都市で、マイペースに音楽活動を続けていること自体すごいことなのだが、良質な作品を生み続けることはもっと賞賛に値する。実際Dovesとしてデビューし、「Lost Souls」が絶賛の嵐で迎えられたときから、彼らが駄作を生み出したことはない。2nd、3rdとそれぞれ独特の方向性を出しながら、シーンに左右されることなくDoves印のサイケデリック・ミュージックを作り出してきたその姿勢も、かっこいいなと思う。

 そしてこの4thアルバムも、そんな信頼を裏切ることなく、「裏マンチェ」とも言うべき様式美を湛えたサイケデリック・ミュージックが全開の1枚である。

 どこか哀愁を感じるメロディーラインは健在。歌ものとしてのフックは抑えめであるが、その分曲全体の流れの繊細な部分がすごく伝わりやすくなっている。また、ドラマチックなアレンジの曲が多いのも今作の特徴だと思う。

 トラックのバラエティー感は過去最高といって良い。オープニングのJetstreamは過度に熱くならず静かに高揚していくミドルナンバー。2曲目Kingdom Of Rustはウエスタンソング風でありながら、重厚なストリングスとメランコリックなギターに胸が締め付けられるような1曲。3曲目The Outsidersは一転してアグレッシヴなロックナンバーと実に様々な曲が存在する。ちなみにWinter Hill,10:03の2曲はあのジョン・レッキーがプロデュース。10:03の後半、怒濤のクライマックスへとなだれ込んでいくようなサウンドはまさに彼のお得意のパターンだろう。個人的におもしろいと感じたのは80年代フロアサウンドを、Doves風に味付けしたCompulsion。

 というように、まとまりという点では、これまでの中で一番希薄な作品かもしれない。しかし、どの曲も実にDovesらしいと思わせるのも確か。決して一筋縄ではいかない、喜びの裏にある「悲しみ」、またはその逆にある感情、そういったものを見事にサウンドで表現していると思う。この表現力たるや彼らは実に高いものを持っている。

 そこを熟練した技でもってがっちりと積み上げ、強固な世界観を作り上げているのはさすがの一言。素晴らしい作品です。

おすすめ度★★★★☆(05/05/09)






Dragon Ash
Harvest
 ドラゴン・アッシュ、久方ぶりのアルバム。この間もシングルはでていたが、突如アルバム制作が無期延期となった。その真意はインタビューからもいまいち知ることができなかったが、どれだけ待たされてもいい作品を作ればよいと思っていたし、実際それだけの作品に仕上がったと思う。
 タイトルが示すように、ドラゴン・アッシュはまさに今、豊穣の時を迎えているのかもしれない。構成的にはこれまでと似ているが、以前のような攻撃性はさほど感じられない。サウンド的にもリリックも若干柔らかくなったように感じる。「やんちゃな子ども」が「やんちゃな大人」になった、といえばいいのだろうか。表現がどんどん成熟しているような印象を受けるのだ。これはこれで、素晴らしいことなのだろうと思う。
 ただ、僕のように普段ヒップホップをほとんど聴かないようなリスナーを引きつけるだけの力が、このアルバムに宿っているかどうか。僕が、このアルバムを「ドラゴン・アッシュ初体験」としていたならば、さほど興味を持たなかったかもしれない。これが正直な感想だ。以前の粗暴なパワーが減退気味なのが残念である。でも、クオリティー的には最高傑作。
 おすすめ度★★★(03/8/19)


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