The Enemyの2nd。1stでは激情的に若さをぶつける、クラッシュの音が分厚くなったようなサウンドを展開していた彼ら。そういうストレートなサウンドだけではなく、しっかり耳に残るメロディーもあり、デビューアルバムとしては十分インパクトを与えることができたと思う。
約2年のインターバルを経てドロップされたセカンド。1stの延長ではいけないという彼らの危機意識もあったのだろう。「Music For The People」という仰々しいタイトルであるが、聴けばこのタイトルが決して大げさなものではないことがわかる。それくらいThe Enemyの音楽性は前作に比べると大きく飛躍を遂げている。
ギター中心だったサウンドは、ストリングスやキーボードが増え、音色豊かになった。そして、壮大なスケールを持った曲が増えた。たとえばBlurの「The Universe」のような感動的なシンガロング・チューンLast Goodbye。近年のOasisを彷彿とさせるネオ・サイケ、Silver Spoon。そして、度肝を抜かれたのがSing When You're In Love。この大陸的なナンバー、まるでブルース・スプリングスティーンのよう。正直ここまで音楽性の幅が広がるとは考えていなかった。
いわゆるロックの巨人たちが作り出したビッグサウンド、それがもたらすカタルシス。それらを詰め込んだようなアルバムは、才能はもちろんのこと、若さ故の純粋な信仰がもたらした産物なのかもしれない。
もう少し焦点化されたらという思いはあるが、手垢にまみれていないビッグサウンドをつくる才能は実に貴重だと思う。願わくば幅を広げすぎて、耳障りが良いだけの、どこぞのスタジアムバンドのようにはならないでほしい。
おすすめ度★★★☆(02/05/09)
EASTERN
YOUTHを初めて聴いたのは「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」でした。やはりこれが彼らの作品の中ではベストだと思うのですが、今回の新作は「旅路ニ〜」と同じくらいよくできています。まず曲。前作「雲射抜ケ声」では、全体のレベルがややとっ散らかった印象を受けましたが、今回はどれもいい曲で、またバラエティに富んでいます。だから、聴いていて飽きない。
相互リンクしているKoroさんに教えていただいたアーティスト。初めてEdの歌声を聞いたのは、スミスの「Please,Please,Please,Let
Me Get What I
Want」のカバー。あの名曲のカバーということで、僕的には生半可なカバーじゃ許さないぞ、と思っていたわけです。しかしながら、これが素晴らしいものでした。ピアノの弾き語りで、場末のバーで歌っているような感じなですが、すごく味があって枯れ具合がすごくいいのです。また、Brian
Wilsonの「Still I Dream Of
It」もカバーしていると知り、すかさず買いました。

「マーキー・ムーン」テレビジョン、「ラディエイター」SFA、「カモンキッズ」ザ・ブー・ラドリーズ、「サーティーン」ティーンエイジ・ファンクラブ、「ディス・イズ・ハードコア」パルプ、「トランスミッション・フロム・サテライト・ハート」ザ・フレミング・リップス、実はこれ、彼らのフェイバリット・アルバムである。ジャケットの写真には、シックス・バイ・セヴン、シルヴァー・サンのポスターが貼ってある。きっと、ピーンときた人にはツボ押されまくりのチョイスであろう。そして僕もその一人だ。
やるなぁ、ホワイト兄弟。ESPのセカンドアルバムは前作からサウンドプロダクションの面で格段の進歩を遂げた。前作「Hole In The
Wall」はポップで素直なメロディーをプログレやサイケ、ソフトロックなどいろいろなフォーマットで鳴らそうとする、ちょっと強引でもありながら若さ故作ることのできたアルバムだったと思う。例えばシングルであった「Silent
To The
Dark」は開放感のあるメロディーを持った佳曲であるが、後半はプログレような組曲へとなだれ込んでいく。「ひねり」というよりは「偏屈さ」さえ感じられた。ただ、センスは本当にただならぬものを感じたし、僕は率直に「Next
Boo」の一番手のバンドだと確信していた。そしてセカンド。Booがサウンドスタイルの面でアルバムごとに大きく振幅していたのに比べると、冒頭のスライド・ギターも前作の何でもありの傾向をそのまま受け継いだように思える。しかし、音のセンスはさらに洗練された印象を受けた。例えば2曲目「Bruxellisation」におけるギター。メロディーの甘美さを引き立てるすばらしい音色である。この1曲だけでもこのバンドが抜群のセンスの持ち主であることがわかると思う。個人的には前作と比べるとメロディーのポップさがやや減退しているのが残念であるが、それ以外の面ではすべてファースト以上。もっともっと評価されてほしいバンドである。
エリオット・スミスの遺作となった今作であるが、やはりこういう作品を冷静に受け止めるのは難しい。正直言うと、彼が生きていたならもっと完成されたものになっていただろうし、実際その完成ヴァージョンへの思いもある。これを完成させずして、何故彼は逝ってしまったのか。そのことがすごく惜しまれるくらいの作品となっているのだ。
