レッチリのキーマンであるギタリスト、ジョン・フルシャンテのソロ作。ソロとしても多くの作品をリリースしてきたが、今作はこれまでのものとはやや異質なものである。
アルバムタイトルである「エンピリアン」とは「天、天球」、また古代ギリシャ・ローマでは純粋な光や火に満ちた理想の場所を指す言葉である。ジャケットのテイストからしても、聞く前は勝手にプログレっぽいものを想像していた。結果的にはプログレの要素もあるが、バラエティー豊かな楽曲が並んでいる。それでも、全体のトーンとしては静的で、崇高な雰囲気を漂わせている。
サウンドの骨格は、基本的にはジョンのギターが核となっている。当たり前であるがジョンが弾きまくっている曲も多い。ギタリストとしてのジョンが好きな人には、特にUnraechableでのギターソロはもうたまらないだろう。相変わらず表現力豊かで卓越したプレイを見せてくれる。
ティム・バックリィのカバー、Song To The
Sirenが秀逸だ。原曲よりもさらに浮世離れしたようなアレンジで、ジョンの歌声も儚さを醸し出していて良い。また、Centralのエモーショナルな感じもまた好きだ。
観念的な歌詞からは宗教の香りがする。曲名もHeaven,Dark/Light,Godなどそれを匂わせるものが多い。この世の創造について、森羅万象についてジョンなりの答えが各曲に存在している。よって、このサウンドを楽しむには、歌詞カードがあった方がいいような気がする。非常に曲のテイストとリンクしているからだ。
聴き終わった後に少々重さは残るが、非常に聴き応えのあるアルバム。
おすすめ度★★★★☆(28/01/09)
Central