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Review K - 

Kaiser Chiefs/kasabian/Keane/Keith/The Killers/桑田佳祐/Kyte

Kaiser Chiefs
Employment
 フランツがこれまでのUKロックが培ってきた「歌もの」的要素を、ユーモアとウィットを巧みに取り入れながら形にしていき、結果的に耳にこびりついて離れない「歌」へと昇華させたのに対して、このKaiser Chiefsはパンキッシュな要素に様々な部分から味付けを施し、奇天烈なポップに仕上げている。そこがやはりこのバンドの最大の個性だろう。たしかに歌メロはよい。しかし、むしろ目に付くのは曲ごとに随所に観られる「遊び心」である。チープなシンセ、チープなコーラスそのどれもが必殺のフレーズとして鳴っている。そしてこの「遊び心」こそ、ブリットポップが残した財産ではないかと思うのだ。
 純粋にメロディーの完成度を追求していくやり方もあるだろうが、彼らはあえてメロディーにこだわるのではなく、徹底的にポップであることにこだわっている。できあがってくるものは、まるで初期XTCのように性急さを持ったパンキッシュなポップなのだが、聴き手に強烈な印象を与える。数多のフランツ・フォロワーの中では頭一つ抜け出しているだろう。
 ただ、アルバムの中盤からテンションがやや下がっていくあたりがもったいなく感じる。この心地よいハイテンションが続いていくと良かったのだが。
 
おすすめ度★★★
☆(05/5/21)

Kasabian
West Ryder Pauper Lunatic Asylum
Surf’s-Up  今やUKロックの代表格バンドと言えるKasabianの3rd。衝撃の1st、革新の2ndとジャイアント・ステップをシーンに刻みつけてきたバンドであるが、実在した精神病院の名前がつけられたこの3rdアルバム。当然ながら一筋縄でいくようなものであるわけがない。

 オープニングunderdogは「これぞカサビアン」という挨拶代わりの1曲。聴いた瞬間に口ずさめてしまう即効性のあるメロディーとずっしりと響くギターリフ。リスナーの心を無理矢理鷲掴みにかかるようなナンバーだ。しかし、以前から比べるとそのグルーヴが余裕と貫禄を感じさせるようなものへとシフトしてきているように感じる。若さならではの勢いで押してきた部分が、より確信が強まってきたようなところがある。

  その考えを更に感じさせたのが、4曲目のFast Fuse。グルーヴの面で革新性を追求していた彼らが、あえてロックンロールの王道のようなナンバーを繰り出してきたことは、自分たちがもう何をやっても大丈夫だという確信を持った証拠だと思う。

 そしてそれを裏付けるかのように、様々な冒険的な試みが見られる。サイレンぽい音が一瞬カンフー映画のサントラのようにも聞こえる仰々しさを持ったなTake Aim。メランコリックなアコギで始まる酔いどれバラッド、Thick As Thieves。これまた、時代劇(日本のね)で流れていてもおかしくない、West Ryder Silver Bullet。ストリングスとコーラスの使い方がノスタルジアを誘う。そして、Ladies And Gentlemen,Roll The Diceはもうタイトルまんまのナンバー。「Don't Give Up〜」時のプライマルを彷彿とさせる、哀愁あふれるR&Bなスロー・ナンバー。

 まるで盟友Oasisの近年のアルバムを思わせるようなバラエティーの豊かさである。それでいて、アルバムとしてのトータル性がすごく強いのは不思議なところ。個人的には前作「Empire」がやや単調に感じられたので、この方向性には大賛成である。そして、これまでよりも映像的な音になったような気がする。情景描写を前提にしたのでは、と思わせるくらい1曲1曲から鮮やかに映像が浮かんでくるような感じを受ける。

 このアルバムを聴いて、カサビアンも大人になったなぁというのが正直な感想。バンドの持っていた不穏な雰囲気がやや薄まってしまったような感もあるが、野性的でもありどこか理知的なところも匂わせる縦横無尽さはこれからのバンドの武器となり得ると思う。これ以上はまとまる必要はないぞ!

おすすめ度★★★★(16/06/09)







Keane
Hopes And Fears
 端的に言うと、ColdplayやTravisが好きな人なんかは素通りできない音であると思う。ギターレスでピアノが中心となった3ピースバンド。強烈な個性があるというわけではないが、メロディーの良さ、ピアノ中心ながらダイナミックさを内包しているサウンドは最近の新人の中でも、クオリティーが高い。特にメロディーには、メランコリックながら不思議な力強さがある。こういう凛とした強さを持った曲達がこのアルバムにはたくさん並んでいる。Starsailorの2ndなんかを想像していただけるといいのではないかと思う。この手のバンドの中で、ここまで新鮮に感じるのも本当に少ない。つまり聴き手の陳腐な先入観を吹き飛ばしてくれる、そんな力を持った音楽だ。
 「ちょっとやりすぎでは」と思うくらいTravisなものもあり、エモーショナルなポップナンバーありと音楽性も幅広いものを持っている。デビュー作としては充分合格点だが、今後はそこにある程度の方向性をつけていくことが必要になってくると思う。つまり「○○風だな」というところから、「○○風のようで、実はこれがKeaneなんだよね」と言わせるようなそんな音楽性を培っていくこと。なんだかんだ言ってもTravisもcoldplayも彼らにしかできない音楽をやっている。この領域にまで達せるかどうか、見守っていきたい。
 おすすめ度★★★★(04/6/18)

Perfect Symmetry

 何かとあったKeaneであるが(かくいう僕も2006年サマソニでドタキャンの憂き目にあった一人)、ついに新作を発表。いろいろなトラブルを乗り越え、また自分たちの音を鳴らそうと戻ってきたことは素直に喜びたい。
 さてその内容だが、前作「Under The Iron Sea」では、内省的でダークな方へとシフトしていったが、新作ではさらに大胆な方向へとシフトしている。
 1曲目「Spiralling 」を初めて聴くKeaneファンはびっくりするだろう。シンセ音からメロディー、安っぽいコーラスまで見事に80'ポップ。2曲目「Lovers Are Losing 」は彼ららしい泣きのメロディーが冴えているが、味付けはやはりシンセ中心。つまりは鋭角的な表現ではなく、より柔らかいイメージを伝えようとしているのかなと思う。その後も、基本線は80'に隆盛したシンセロック的な曲が並ぶ。音は厚めであるが、83年くらいに発売されていても、全く違和感がないと思う。
 1stの音が忘れられない人にとっては、期待はずれだろうし、2ndの暗さがいいっていう人には、ゴミにしか思えないかもしれない。ただ、前作ではどこか苦しく、ストイックになりすぎている感もあったのだが、今作では彼らのメロディーは実に伸びやかに鳴り響いている。そこが、今作の聴き所ではないかと思う。アンセミックなものも結構あるし、ライブでもこれらの曲を合唱するシーンが見られると思う。
 個人的には、エレピとシンプルなドラムでトムがたおやかに歌う「You Don't See Me」のような曲が好きだが、これももろ80'。自分は80'に小中学生時代を過ごしているので、こういう音を聴くとすごく「はるかノスタルジア」って気分になるんです。というわけで、僕はこのアルバム結構好きですし、同じ年代の人には(免疫を持っている人には)おすすめできます。

 おすすめ度★★★☆(22/10/08)

Spiralling(PVも80')


Keith
Vice&Virtue

Surf’s Up マンチェスター出身のバンド、Keithのセカンド。1st「Red Thread」はSmiths直系のギター・バンド的な要素や、クラウト・ロックなど自分たちの感性にふれるものを上手く融合して、自分たちの世界観を作ることに成功した、いいアルバムだった。不思議な暖かみや憂いを含んだメロディーラインも個人的にはツボでとても期待していたんだけど、シーンの主流になることはなく、何となく地味に消えていったような印象がある。

 しかしながら、彼らは素晴らしいアルバムを抱えて、またシーンに戻ってきた。アルバム中の数曲を、フランツ・フェルディナンドの最新作をプロデュースしたダン・キャリーが手がけている

 1曲目「can't See the faces」から、重めのリフやオルガンが炸裂している。そしてこの曲だけでなく、全体的に1stと比べるとかなりダークな方へと向かった感がある。ギターリフも前作の浮遊感やサイケデリックな雰囲気を生むような役割ではなく、刹那的というか非常に攻撃性を感じさせる力強いものに変貌している。

 ソングライティングの部分は相変わらず申し分ない。前作と比べるとややオリエンテッドな部分が増え、そこが今作のトーンといいマッチングを見せている。

 サウンドが全体的に骨太になったが、変な重苦しさは感じない。タイトル通り悪徳と美徳の合間を揺れ動くような人間の「陰」の部分を表現するためには、必要なビルドアップであったように思う。

 今作にしてもやはりシーンの主流からはかなり遠いところにある音だ。でも、何の迷いもなくこういう音を鳴らせるバンドもシーンには必要なのだ。このダークなサウンドはとてつもない美を湛えている。この素晴らしさに一人でも多くの人が触れてくれたら、とても嬉しい。

 おすすめ度★★★★(27/12/08)

up in the clouds


lullaby


The Killers
Hot Fuss
 1曲目「Jenny Was A Friend Of Mine」はイントロのシンセがDURAN DURANの「Planet Earth」のように聞こえ、「ここまでやったか」とほくそ笑んでしまった。明らかに80年代のニューロマの影響が色濃いバンドです。僕も小学生の時はこの手の音をむさぼるように聞いていたたちなので、曲が進むたびに「これは○○だ」と元ネタ探しだけでもかなり楽しいですが、単なる模倣だけではなく、今のシーンを反映したややパンキッシュなところもかいま見られます。しかし、基調はあくまでシンセとギターのキャッチーなフレーズが同格で絡み合うサウンド。そしてヴォーカルもまさに80年代の演歌ポップ的歌い回し。時々こういう音が聞きたくなる僕としてはなかなか楽しく聞けました。第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンに洗礼を受けた人には聞いて欲しい一枚ではある。ただ、バンドとしての個性をどこに見いだすか。Duran Duranのアルバムではなく、Killersが聞きたいと思わせるだけの魅力をこのアルバムが持っているか。そこは苦しいと言わざるを得ない。もっともっと下世話なところを出すか、キラーチューンと呼べるものを生み出すか、どちらも道は険しいが、これがこのバンドの生きる道だと思う。
 おすすめ度★★★☆(04/9/30)

Day & Age

 The Killersの3rd。前作「Sam's Town」では覚醒とも言うべき、本格派への道を歩み始めた彼ら。個人的には1stも2ndもストライクなはずなのに、これまでなぜかあんまり好きになれなかった。子どもの頃、自分が慣れ親しんだ80'sポップロック、アメリカン・ロック。しかしながらKillersの鳴らすそれは、「よくできている」という印象はあっても、「これが自分たちの音だ」という必然性があまり感じられなかったのだ。また言い換えると、「こういう音を聞くなら普通にDuran Duran聴いちゃうなぁ」という、The Killersへの欲求を自分がもてなかったのだ。

 で、この新作であるが、セカンドでのシリアスなロック路線からまた大きく舵を戻している。といっても、1stに比べると、メロディーのスケールは大きくなっている。自分が変化を遂げてきた過程を見直し、進化した部分を上手く組み合わせながら「自分たちの音楽」を作ろうとしている様子がこのアルバムから伝わってくる。

 リードサックスに薄いギター音が印象的な「Losing Touch」でアルバムは始まる。そして、もろシンセポップ、だけどメロディーは「The Joshua Tree」期のU2みたいな「Human」へと続く。3曲目はポジティヴなシンセロック「Spaceman」。4曲目「Joy Ride」は、まさにあの「Let's Dance」を思わせるファンキーなナンバー・・・

 後半になると、少しずつ前作のシリアスなテイストが戻ってくるが、全体を通して王道80'sサウンドがこれでもかというくらい鳴らされている。シンセ音、コーラスのかかったギター、軽めのドラム、そしてポップな歌メロ。近頃はすっかり珍しくなくなったが、極めて懐古的な音。それを今やる理由は何なのだろうか?

 彼らは「Human」の中でこう問い続けている。「僕らは人間なのか? ダンサーなのか?」。この歌詞はダンサー的メンタリティーを批判している人物に対して思い浮かんだ歌詞らしいが、まさにこの問いこそが、彼らの存在理由であるような気がする。クソみたいな人生をダンスフロアに変えてみせる、そのために選んだ武器がまさにあの黄金の80'sサウンドなのではないか。そう思えて仕方がないのだ。そして、そう考えるようになって初めて彼らの音楽にリンクすることができた。やっと良さがわかりました。

 おすすめ度★★★★(29/11/08)

Human


桑田佳祐
白い恋人たち
 「日本のミュージシャンでメロディメーカーといえば・・・」ということを考えるときにまず始めに浮かぶのは、スピッツの草野マサムネである。次に宮本弘次かな。いつも中毒性をもついいメロディを書くなーと感心している2人である。
 しかし、これはここ数年の話であって、それまでは同じことを考えたときに一人の男しか浮かばなかった。「桑田佳祐」である。
 僕が音楽(洋楽)を熱心に聴き始めたのは小学5年生の時である。恥ずかしながら、DURAN DURANがそのきっかけとなった。だってかっこよかったんだもん。その前はというと、僕は「サザン」しか知らない男でした。音楽にあんまり興味がなかった頃から「サザン」だけは好きでした。その後、買う雑誌が「FMステーション」からロッキン・オンとなり音楽にどっぷりとはまるようになってからも、「サザン」だけは好きで、それは今でも変わらないのです。今でも「ベビスターラーメン」が好きなように。
 サザンを語る機会はまた別にして、今回のソロシングルですが、メロディ的には素晴らしいなと思っています。しかし、歌詞が、どうにもいまいちかなと。ひねりがないというか、これじゃAORじゃないか、と思ってしまうのね。桑田佳祐って本当は音楽に対して「狂気的」な人なのに、歌詞のせいで、それがもう一つ伝わってこない。でもメロディは最高。「波乗りジョニー」よりはずっといい。
 おすすめ度★★★☆(ちょっと甘め 01/10/31)

東京

 かなり売れているらしい。たぶんなんだかんだで耳にしているでしょう。みんなの期待を大きく裏切った今回のシングル。ジャパンのシングル評でさえも疑問符を付けていたが、本当のサザン・桑田ファンであるならきっと読めた展開であると思う。「女神たちの情歌」「イエローマン」のような、いわゆる桑田の趣味性の強いものをこうやって時々シングルにする、桑田のお得意のパターンだ。
 そして、こういう昭和の歌謡曲、もっと言えばブルース色の強い曲も実は桑田の18番である。彼は、聴き手が要求する音楽をかぎ取る嗅覚に優れているが、単にそのまま出すのではなく、常にそこに「毒」を一服盛ろうとするのだ。そのさじ加減が絶妙で、実はそこが彼が二十数年たった今、まさにピークのセールスを迎えている要因だと個人的には考えている。桑田佳祐論についてはまた別の機会に。
 しかしながら、この曲が世間の人々の心をとらえているとは正直思えない。個人的には僕は「東京」が一番好きだが、カップリングの「夏の日の少年」「可愛いミーナ」(どちらもCMに使用)こそがみんなが聴きたい桑田節なのだろう。「夏の日の少年」はサザンの「Young love」の頃を思い起こさせる爽やかなギターポップだし、「可愛いミーナ」は「あなただけを」や「Love Affair」で披露してきたフィル・スペクター風のナンバーである。どちらも佳曲であるが、やはり詩が弱く感じる。昔はすごい詩書いていたんだけどなあ。ずいぶんわかりやすくなっちゃったのが、昔から(もう20年以上、だって幼稚園の頃から好きだし)のファンとしては寂しいのです。本当はすごい人なのよ。
 おすすめ度★★★(02/7/15)

ROCK AND ROLL HERO
 桑田佳祐を語る上で、いつまでも忘れられないエピソードがある。それはある雑誌でチャボが「桑田君って政治がどうとか社会がこうだとか絶対に歌わないでしょ。だからすごい興味がある。」と語ったことである。幼稚園の頃から「勝手にシンドバッド」に目覚め、スミスやR.E.M、果てはXTCを貪りつつも、ずっとサザンに虜になってきた人間にとってはまさに最大級の賛辞であった。確かに桑田佳祐という人は長い間音楽界をサヴァイヴする中で、社会的なメッセージソングを歌おうとはしなかったし(いや、厳密に言えば残留孤児のことを歌った「かしの木の下で」などがあるが)、一時期異常に流行ったチャリティー的な活動(有名なのはバンド・エイド)についても、批判的な発言などもしながら手を染めようとはしなかった。その理由はこれらの行為がいわゆる一元論的な「正義」や、押しつけまたは自己満足に過ぎない「善意」であるという本質を見抜いていたからである。そして、これは山下達郎の言葉であるが「歌は世につれるが、世は歌につれない」というポップソングの立ち位置を第一線で活躍する立場として痛感していたというのも大きい。自分の求める音楽に対して恐ろしくストイックであるが故に、枷となるようなメッセージ性は排除しようとしていたのだろう。しかし、国民的バンドとしてその期待を一新に背負い、「みんなのうた」を量産し続ける中で、桑田佳祐という個に対しては意外なほど目を向けられてこなかったような気がする。サザンのナンバーから国民が感じ取る「陽性」なイメージとは逆に、桑田佳祐という人はいかがわしさ、猥雑さといった強烈な「陰」のパワーを持った人である。桑田佳祐自身は己の作品においてそのパワーをいかんなく発揮してきたが、それに気づいていた人はどれくらいいたであろうか。世を席巻してきたポップソングの裏にはもうどうしようもない桑田佳祐のパーソナルが毒が渦巻いているのである。
 しかしながら最近は(とは言ってももう10年くらいになるが)、桑田佳祐の歌にはかなりの割合で政治的な要素が増えてきた。「アクト・アゲインスト・エイズ」に関してはもうずっと続いている。「これはどういうことだ」昔ながらのファンとしては、不思議でならない。だが、これもまた桑田佳祐というパーソナリティーのなせる技なのだろう。「海を捨てた」と宣言したり、「オリジナルアルバムの必要性を感じない」と言いながらもたびたび覆してきたのだから。自分の発言に縛られることなく、嗅覚の赴くままに音楽を作る、ポップモンスターとしての生を全うしていくのだろう。
 今作は、「自分の息子のバンドにインスパイアされた」という発言の通り、桑田佳祐のルーツ的なテイストが色濃い。メロディーの完成度から言えば、1st、2ndよりは若干落ちるような気がするが、逆に瑞々しさという点では今作が一番である。これまでの偏執的とも言うべきスタジオワークから、仲間との共同作業へとチェンジしたのが功を奏したのだろう。個人的には前々作、前作のような完璧なプロダクションによる作品も大いに魅力的なのであるが、今作のようなノリ一発のような感じも新たな魅力を感じる。やっぱりすごい曲もたくさんあるし、桑田佳祐の毒も満載だ。というか、40某のオッサンがこれだけの作品を作れるというのがすごい。ニューオーダーがあれだけすごい作品(Get Ready)を作ったのと同じように、このエネルギーは尋常じゃない。それだけでも敬服に値すると思う。
 おすすめ度★★★★(02/10/22)

Kyte
Science For The Living

Surf’s Up UKはレスター出身、Kyteの2nd。平均年齢が21歳とのことで、現在のシーンではそう珍しいことではないが、彼らの作り出す音が醸し出す「貫禄」を考えると、相当に若いように思える。つまりは、とても20そこそこの若者が作り出したとは思えないほどの壮大なサウンドスケープがこのアルバムで展開されているのだ。

 そのスタイルから、よくシガー・ロスやレディオヘッドが引き合いに出される。だが、共通点もあるが本質は全く違うところにあると思う。エレクトロニカ、無機質なビート、そこで展開される儚い歌声は目新しい物でなくても、壮大且つ幽玄とした美の世界を作り出している。それは、今のシガー・ロスにもレディオヘッドにもないものだ。

 カテゴライズしようとするなら、ポストロックまたは最近よく言われる「ニューゲイザー」というところにいるのかもしれない。しかしながら、若干飽和気味となってきたジャンルの中でも彼らの存在感は際だっているように感じる。つまりは、自分たちのサウンドで確固とした自己主張ができているからだ。なぜ、今この音を鳴らすのかという必然性を持って響いてくるからだ。

 1stから変化したなと思う点は、リズムがより全面に出てきたところだ。メロディーよりもリズムの「美しさ」がより強調されているように感じる。ただ、その分メロディーがおろそかになっているかというとそんなことはなく、そのシンプルさがリズムと絶妙な相性を見せている。

 シンセなのかもしれないが、グロッケンぽい音がよく使われていて、それが曲に独特の緊張感を与えている。常に張りつめたような中で、感情を爆発させるのではなく、想いを淡々と告白してゆく。それは懺悔のようにも聞こえるし、祈りのようにも聞こえる。

 ただそれは、そうすることで苦痛から逃れようとするのではなく、むしろ痛みを抱きしめようとする彼らの意志の現れだろう。1stに比べるとそういう意志や主張が力強く感じられるようになった。だからこそ、うわべだけではない内包している真の美しさを見せることができるようになったのだと思う。

 おすすめ度★★★★(03/05/09)




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