LA出身、2人組のユニットNo Ageのデビューアルバム。いろんな雑誌の2008年ベストアルバムの1枚として結構取り上げられていたので、気になっていたところ。日本盤がついにリリースされた。
サウンドの特徴は、DIY精神あふれるガレージロックなのであるが、メランコリックなメロディーがガレージの厳つさをほどよく押さえているので、わりとポップな印象を受ける。そして、時に激しいバーストを見せるギターはガレージ風というよりはシューゲイザーの影響を色濃く感じる。
曲調は短いものが多く、もろガレージなものもあれば、抑えめなサイケテイストで上手く引いたりとアルバム全体の流れにおいていい緩急をつけている。
重厚なギターが唸りを上げるMiner、メランコリックなメロディーにやけっぱちな歌が乗っかるTeen Creepsや、疾走感あふれるシューゲイズなサウンドのSleeper
Hold、Here Should Be My Homeあたりが自分の好みであるが深海を漂うようなディープなサイケデリア、Things I Did
When I Was Deadもいい味を出している。
アイディア的にもそんなに斬新ではないし、ソニック・ユースやマイブラに影響を受けた真っ当なインディ・ロックなのだが、不思議なことにこのバンドはものすごく強い光を放っているように見える。
その源は、この二人が自分たちのポテンシャルを全方位的に解放しているところにあるのだと思う。当然ながらロックバンドの可能性は人数によって決まるものではない。才能の有無であったり、飽くなき音楽的欲求だったりするわけだが、この二人は「二人である」ということに対して何も感じていないと思う。自分たちの音楽性を爆発的に表現することしか考えていないのだと思う。ただ、この最小単位に近いフォーマットでそれをやると、もうたまらないくらいに刺激的な音に仕上がるわけだ。
ロックの持つ熱量や速度が漲ったこのアルバム、確かに素晴らしい。アメリカン・インディ好きにはたまらないと思う。
おすすめ度★★★★(07/02/09)
ブルックリン出身の3人組Nada Surf,通算5枚目のアルバム。春になると不思議とTFCやTravisを聴きたくなる自分なのだが、このアルバムもまさにその「仲間入り」をしそうだ。
中村一義というよりは100式のアルバムと言っていいほどバンドとしての連帯感が満ちあふれたニューアルバム。昨年のロック・イン・ジャパンではあまり上手いバンドではなかったので、不安がないわけではなかった。が、やはり素晴らしい作品を届けてくれた。前作「ERA」は彼の空恐ろしいテンションをエネルギーに作られた一分の隙もないアルバムであったが、今作はツアーなどを通し仲間との連帯から得たテイストを随所にちりばめながらも、中村色は損なわれることはなく、彼の新たな一面を垣間見ることができる構成となっている。やはり「ERA」のような完全無欠のロックは恋しいが、こうしたリラックスした彼もいい。決して上手くはないが、固有のグルーヴ感を持ったバンドであるし、中村一義というソングライター、シンガーを十二分に生かしている。意外に100式は中村一義にとっての「Eストリートバンド」なのかなとも思う。
8年ぶりのニューアルバム。個人的にはerectronicの「TwistedTenderness」が好きだったので、メロディが立ったこのアルバム、とっても好みです。ビリー・コーガンとプライマルが参加していますが、ビリーは地味。一方ボビー参加曲はニューオーダーよりもプライマルの新曲みたい。捨て曲なしの傑作。「RUN
WILD」の歌詞に「神がおまえを連れ去りに来ても、俺は絶対におまえを離さない」というのがあるのですが、これほど説得力を持って響いてくるバンドはそうそうないでしょう
やはりこのバンドはすごい。革新的な面ではなく、徹頭徹尾自信に満ちあふれた音であるからだ。自分たちが鳴らしている音楽に絶対的な信頼を置いている。メンバーとの不仲がたびたび囁かれようとも、彼らが「New Order」を易々と手放すことはないだろう。
3枚組(DVDを合わせると4枚)のBOX SETをまとめたものであるが、未発表曲が3曲入っているという点で、やはり好きな人には買わずにいられない内容となっている。その未発表曲であるが、1曲目の「Spank Thru」はNirvana以前のカートのバンド、Fecal Matter名義のもの。1985年の音源(デモ)である。冒頭のヴォーカルが、ルー・リードのようだ。次第にカートらしくなっていくが、サウンド同様荒削りさが目立つ。9曲目「Sappy」は録音に相当の時間を掛けたそうだが、結局完成には至っていない曲。カートらしいリフレインを多用した、なかなか良い曲だが、カートのヴォーカルが全然聞こえてこない。ミックスの関係かもしれないが若干迫力に欠けるところがある。そして14曲目「Come As You Are」。あの名曲のデモ版であるが、「Nevermind」の曲はすべからく、デモの方がかっこよく聞こえる。やっぱり僕は、ブッチ・ウィグのプロデュースがあまりしっくり来ない。完全に「In Utelo」派である。このようにデモを大量に聞くとそのことが如実に感じられる。基本的に僕はこういったデモテイク集のようなものにあんまり興味がないんだけど、このNirvanaのBOX SETをはじめとしたデモ集を聞くと、カートの書く曲そのものの良さが半端ではないことに気づく。そういったことを確認するのにはオリジナルよりもうってつけなのかもしれない。
とても官能的なアルバムであると思う。サウンドや歌詞に和的な要素が加わり、デイヴ・フリードマンのプロデュースによって、今まで体験したことのないような濃密な世界が構築されている。これまでも官能的な要素はあったが、今回の作品は「和」の持つエロスが加わり、よけい官能的である。