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Review O - 

Oasis/Oceanlane/奥田民生/The Ordinary Boys/小沢健二
Oasis
Heathen Chemistry
 単刀直入に言うと「Standing〜」よりはずっと好きなアルバムである。「Morning Glory」には負けるが、「Definitely Maybe」と「Be Here Now」の次に好きなアルバムである。
 先行シングル「Hindu Times」は周りの評価と裏腹に、僕の中ではいまいちしっくりとこなかった。この程度のクオリティーの曲は、オアシスではB-sideクラスかそれ以下のような気がしたからだ。
「Standing〜」だって、「Go Let It Out」だった。あの中でも素晴らしいナンバーであった。だから、「Hindu Times」を超えるナンバーがないと正直つらいのではないかと思っていた。そして、また気になったのは、ノエル以外のメンバーが曲を書いているという情報。リアムの「リトル・ジェームス」(前アルバムに収録された曲)はノエル兄さんに比べると明らかにイマイチで、「ちょっとかんべんしてほしいなあ」とも思っていた。
 しかーし、ごめんよリアム。あんた最高だ!今回のリアムの充実ぶりには目を見張るものがある。僕は今まで、歌のうまさだとか、歌い回しとかはわりとどうでもよかったのだけど、このアルバムでのリアムの歌のすばらしさといったら。誤解を恐れずに言うと、これはもうジョン・レノンだ。声そのものがロックであるというようなそんな感じなのだ。そして彼が書いた3曲も今回はアルバム・レベルに到達していると言ってよいだろう。「Songbird」「Born On A Different Cloud」は
アルバムの中でもかなり好きな曲だ。一方ノエル兄さんはノルマが減った分集中して曲作りができたのではないだろうか。次のシングル「Stop Crying Your Heart Out」は反則すれすれのナンバー。「Slide Away」「Don't Go Away」の流れをくんだ泣きのメロディーを披露している。「Little by Little」も素晴らしいメロディーで、「Standing〜」にはなかったストレートな曲である。
 全体的な印象としては佳曲が揃えられた作品である。前作では何か新しいことをしなければならないという呪縛に捕らわれていたが、今作は今一度自分たちのやりたいものを素直にやるだけなんだということを再認識した分、まさに期待していたグッドメロディーが復活している。以前のような神懸かったナンバーはないが、単純にいい曲揃いのロックンロール・アルバムとしてはこれでいいのだと思う。とにかく僕は好きである。
 おすすめ度★★★★(02/7/2)

Don't Believe The Truth
 個人的なことを言わせて貰うと、Oasisにはストーンズのように、シーンを刺激しながらも、ロックンロールをやり続ける存在でいて欲しい。Beatlesのようにアルバムごとに新境地を開かなくてもいいと思っている。そういう意味で前作「Heathern Chemistry」を聴いたときは大いに安心した。これからもOasisは続いていくだろうと確信できたからだ。
 しかし、今作は僕のそういう思いを裏切ってくれた。ここに来て彼ら(というよりノエル)はまた大きな冒険に挑んだ。それは、どうやって「非Oasis」的なロックンロールを作るかということだ。「原点回帰」などと言われてもいるけど、僕は少し違うような気がする。ノエルの曲はシングル「Layla」と「Let There Be Love」こそは王道的だけど、それ以外は明らかにこれまで見られなかったようなものだ。特に「Mucky Fingers」「Part Of The Queue」では明らかにリズムを意識した音づくりがなされている。ここまで明確に打ち出してきたのは初めてではないだろうか。でも実はそうやって「Oasis」の幻影と格闘しつつ新たなサウンドを生み出そうとしているノエルにこそ僕は「Oasis魂」を見てしまう。
 そしてリアム、アンディ、ゲムの曲は純粋にメロディーの質が格段に向上している。特にアンディーの健闘が光る。元々後期ライドやハリケーン#1でソングライティングを担当していたのだから、フックのあるメロディーを書く力は持っているのに、Oasisではその力を発揮していなかったように感じていた。「Turn Up The Sun」ではメランコリックなイントロから徐々にストリングスが加わっていく力強い曲で、オープニングなのも頷ける。「Keep The Dream Alive」は今作の中で僕の好きな「Oasis」らしい曲。リアムのがなりっぷりが気持ちよく感じられる。
 曲数も絞られ、3rd以降の「無駄なもの」がそぎ落とされ、非常に「わかりやすい」アルバムだと思う。Oasisはこれでいいのだ。1st,2ndとは比べないで欲しい。比べることに意味はない。それよりもデビューして10年以上経過しているバンドが、これだけ瑞々しいロックンロールをやっているという現実だけに目を向けて欲しい。
 
おすすめ度★★★
★☆(05/6/5)
Dig Out Your Soul

 「作りたかったのは『聴く』音楽ではなくて、『体感』できる音楽だった」by ノエル・ギャラガー

 Oasis7枚目のアルバム。ノエル、リアム、ゲム、アンディの体制になってからは3枚目になる。冒頭の言葉通り、ここでオアシスはこれまでの武器であった「シンガロングできるメロディー」を多くの曲で捨てている。かわりにあるのはバラエティーに富んだ楽曲。基本的な線としてサイケデリックな色合いがどの曲にもあるのだけれど、前作よりも各曲色の濃さが深まってきているように思う。

 オープニングの「Bag It Up」は重々しいビートとギターリフ、さらに重々しいリアムのヴォーカル。いきなりけんか腰と言うよりは、これからアルバムを聴くに当たって聴き手に「覚悟しやがれ」という警告にすら聞こえてしまう。「The Turning」はピアノやオルガンでスリリングさを引き出した佳曲。最後はディア・プルーデンスですね。「Waiting For The Rapture」は、ブルージーなギターとノエルのヴォーカルの格闘がおもしろい。シングルの「The Shock Of The Lightning」はドライヴ感あふれるロックナンバー。最初はもっとミディアムテンポの曲だったらしく、レコーディングしていくうちにどんどん早くなっていったらしい。これは大正解。アルバムの中でアクセントをつける曲として見事な機能を果たしている。これがなかったら、最後まで聴くのに疲れてしまったことだろう。次の「I'm Outta Time」もそう。もろにジョン・レノンかもしれないけど、リアムの優しいヴォーカルはまたジョンとは違う趣がある。最後に「I'm Outta Time(俺にはもう時間がない)」と歌い続けるところに僕はやられてしまった。

 「(Get Off Your) High Horse Lady」はノエル作だけど、なんだか昔のコーラルみたい。もっさりしたフォークロック。カモメの鳴き声の逆回転から始まる「Falling Down」は、これからのオアシスのスタンダードになるのではないかという1曲。メロディー主体ではなく、オアシスのグルーヴ面での進化が感じられる。「To Be Where There's Life」はゲムの曲。シタールをフィーチャーしているが、これはビートルズですね。「Ain't Got Nothin'」はリアムのけんか腰ヴォーカルが炸裂した1曲。正直言うと、リアムが歌っているからなんとかなっている感もある。「The Nature Of Reality」はアンディの曲。ここで言うことではないけど、アンディはもっとすごい曲書けるはずです。

 ラストの「Soldier On」はひたすらリフレインしていくメロディーが、どこかもの悲しげで、これも今までのオアシスにはない曲。こんな風に終わったアルバムもこれまでないんじゃないだろうか。

 ここまでくると、これまでだったら、まどろっこしいような気持ちになりそうなのだが、不思議とそういう気分にならない。むしろ、今までのオアシスとは全然違いながらも、不思議と「これぞオアシス」と思ってしまうアルバム。ここがオアシスのすごいところで、半ば強引に自分たちの土俵へ聴き手を引きずり込んでしまうような力を感じるのだ。「気に入らないやつはどっか行け」ではなくて「気に入らないと言わせねぇ」くらいの。でも、その強引とも言える確信こそがオアシスの音楽を進化させてきたのではないか。今までの自分たちのイメージから遠いアルバムを作ろうというノエルの意図は見え見えであるし、そこで賛否両論起きるのは理解できるが、このアルバムで、オアシスがこれからもロックし続けることを高らかに宣言したことを今はうれしく思うべきなのではないかと思う。

 おすすめ度★★★★(10/12/08)

The Shock Of The Lightning


Oceanlane
On My Way Back Home
 「友達に教わる前に、君が友達に教えるべきバンド」と帯に書いてあり、なかなかいい表現だなと思っていたのですが、確かにこのアルバムはそういう要素があると思います。僕はいわゆる「エモ」と呼ばれるものは嫌いではないけどほとんど興味がありませんでした。このOceanlaneはジャンル的には思いっきり「エモ」なのでしょう。なのに、すごく気に入っている自分がいます。というのは、メロディーの質感が今まで聴いてきた「エモ」の作品とは微妙に違う感じがするのです。OasisやAshのようなUKの王道的なメロディーセンスがこのバンドにはあるような気がします。「エモ」っぽく鳴らされていながら、これだけ引きつけられるのは、このメロディーセンスがあってのことです。デビューアルバムですが完成度は高いと思います。全曲キャッチーなメロディー、しかもUKっぽさもありとなると、もっともっと話題になってもいいかなともいますが、どうなのでしょう。あえて注文をつけるとすれば、歌詞が弱いかなという感じがします。凡庸な言葉が多いというか。でも、まだ若いのでこれから大化けする可能性をもっていると思います。聴いていて清々しくなるアルバム。
おすすめ度★★★★(04/2/24)
いる

奥田民生
LION
 過日の広島球場での「ひとり股旅」のようなことは間違いなく彼にしかなしえないことである。それはやはり、彼の歌が大観衆の中でアコギ一本でのパフォーマンスに耐えうるだけの「世界」を持っているからである。単純にクオリティーの問題ではない。大切なのは、聴衆の感性に共鳴する「世界」を創り出せているかで、それが届いているか、聴衆の魂を揺さぶることが出来るかだ。当たり前のことであるが、「それが出来るかどうか」というのは非常に大きい。
 この作品でもその「民生節」は健在だ。奥田民生の書く詩は、もう芸術とでも言えるくらいに素晴らしいものであるが、僕はそこよりもメロディーに着目している。すごくキャッチーなわけでもなく、フックもさほどあるとは言えない曲が彼の作品には結構あると思う。しかしながら、僕はそれらの曲をスキップボタンで飛ばすことが出来ない。なぜならば、僕はそういったものにこそ奥田民生の「真骨頂」を感じるからである。一見地味に聞こえるメロディーも、何故かしら奥田民生にかかれば説得力のあるものとなる。これは、どういう事なのだろうか?
 奥田民生の曲は決して「雄弁」ではない。しかし、伝えるために必要最低限の言葉とメロディーが絶妙に並べられている。それは、もう日本庭園の石の置き方にも似ていて、「空間(隙間)の美学」といってもいいかもしれない。ただ、問題はその「眺め方」だ。眺める方向によっては、石が少なく見えたり、バランスが悪く見えるだろう。よって、見ている人は「あそこに大きな石を置きたい」などと考えてしまうのだが、実は完璧な配置なのだ。そういうロック的な「わびさび」が分かる人には最高の音楽であるし、そうでない人には全く物足りないものに感じられるだろう。しかしながらそれは、聴き手を選ぶ音楽ということではなくて、単純に聴き手の「捉え方」の問題なのだ。
 今回のアルバムはそういった要素がこれまでのアルバムよりも色濃く出ていると思う。前々作「Goldblend」よりもサウンド面での起伏はないし、前作「E」で見せたアグレッシヴさもない。しかし、奥田民生は自分の言いたいことはしっかり言い、自分のやりたい音楽をしっかり演じている。唯一無二の世界を持ち、誰も真似することの出来ない「ロック」を奏でる数少ない表現者の一人として、彼はどこまで行くのだろう。

 おすすめ度★★★★(05/1/11)


The Ordinary Boys
Over The Counter Culture
 聴いていて清々しい気分になるアルバム。聴いた瞬間、「ん、Jamか」と思うくらい黒っぽくてかっこいいロックンロール。とにかくメロディーがキャッチーで、かつてのAtomic SwingやWhiteout最近だとMando Diaoレベルと同じくらいのキャッチーさである。何にも考えずに聴くと本当に最高だ。プロデューサーはスティーヴン・ストリートであるが、サウンド・プロダクションにあえて凝らず、メロディーのストレートさ、バンドの勢いを前面に押し出しているところがかえって新鮮で僕は気に入った。しかし、所々に英国的音楽センスがちりばめられていて、「今回はこういう感じに仕上がったけど、本当はたくさん『引き出し』を持っているんだぜ」と匂わせるあたりは心憎い。だから曲によっては、もう少しアレンジを濃くして欲しいなと言うのもある。が、それをあえてやらなかったのも何か策があるのかと勘ぐってしまう。
 例えば、こういうストレートな作品はデビューであるからこそ出せるものであって、2作目以降は自分たちのサウンドというものをもっと追求していく必要があるだろう。だから、次作以降でのサウンドの深化を見せるためへの布石ともとれる。だから、2作目あたりは「Revolver」のようなものが生まれるかもしれない。ただ、個人的にはVinesのように消化不良にならないことを祈る。OasisやBlurが乗りこえてきた道を、同じように超えて欲しい。
 おすすめ度★★★★(04/8/20)


小沢健二
Eclectic
 小沢健二ひいてはFlippers Guitarは僕が日本のロックを真剣に聴くようになったきっかけ的存在であり、僕が今まで一番多く行っているライブは彼のである。フリッパーズについてはここでは紹介しきれないのでまた別の機会に。ソロになってから、彼の音楽スタイルは目まぐるしく変わった。1stでは「神様」「強さ」「生きていく」ということをしばしテーマに取り上げ、元相棒の小山田圭吾(コーネリアス)に「危険だ」「どうしちゃったの?」などと言われるなど、ファンの中でも物議を醸した。しかし、今ではまぎれもない名盤として認知されている。2ndは言ってしまえば「生命賛歌」。人生何でもあり、だからこそ「人生は素晴らしい」。「Life Is Comin' Back」というフレーズに22才の僕はしびれたものです。3rdではジャズ・コンボに挑戦。しかし、小沢としては挑戦という気持ちはさらさら無かったであろう。その時に表現したいことをジャストな音であらわす。それが小沢にとって自然なことであるから。ともすると「節奏がない」と取られかねないのであるが、彼はそれを圧倒的な才能と豊穣な言葉でやってのけた。決して軽々とではない。自分の内なる音、自分の「生」と向き合い、それを表現することはあのトム・ヨークがあれだけ苦しんだように(しかもその格闘は未だ正当な評価をなかなか受けることができないでいる。英国プレス、クソだ)、きっと苦しい作業なのだと思う。音楽にあふれかえっていながら、誠実な音楽に巡り会うことがきわめて少ないのは、それが原因なのかと思う。
 小沢も復活するまでに4年以上の月日を費やした。本当に待ちこがれていた。一時期はNYで小説家になるという噂もあり、僕はこれは本当なのではないかと思っていた。しかし、彼は帰ってきた。サウンド的には、音数が少なくなりシェイプされたメロウ・ソウルといった感じで、またもや新機軸ともいうべきものになっている。リズム隊もタイトで、ギターはソウルというよりはAORに近い。小沢の歌い方も変わった。とてもエロティックな感じで、「雫一つ 肌を超える」等と歌われてしまうと、ついつい男も濡れてしまう。クオリティ的にはこれまでの中で一番であろう。ただ、昔からのファンがこれを狂ったように聴くのかというと、それはあんまり想像できない。僕自身もそれほど好みではない。しかし、これだけは言える。
「Eclecticは彼が未だに音楽と真摯に向き合っていることが証明されたアルバムだと思う。
 なぜならば、今までの作品と同様に、この作品からも、小沢のソウルを感じるからだ。少々大げさかもしれないが、これほど作品を通して、表現者としての顔が見えるアーティストはまずいない、と僕は思っている。それゆえにこの作品は生々しい。この「生々しさ」こそが小沢の魅力ではないだろうか。とりあえず「おかえり!」


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