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Review P - 

The Pains Of Being Pure At Heart/Paloalto/Paul Steel/Peter Bjorn And John/Peter Doherty/The Polyphonic Spree/Primal Scream 
The Pains Of Being Pure At Heart
The Pains Of being Pure At Heart

Surf’s Up The Pains Of Being Pure At Heartは2007年初頭に結成され、ニューヨーク・ブルックリンで活動している4人組。

 紹介の言葉も、ネオアコ、ギタポ、アノラック、シューゲイザー・・・と魅力的な物が並ぶ。そして、実際その通りの音というか甘く心地よいメロディーに、ギターのキラー・フレーズという限りなくかつてのUKギターロック王道の音である。この手の音が好きな人なら、間違いなく引きつけられる音だろう。男女混合のツインヴォーカルであるが、どちらかというと男性ヴォーカル主導で、女性の方はコーラスに近い。

 ノイジーなギターに、メロディアスな歌という構図は全く珍しいものではなく、多くのフォロワーを生んできたフォーマットでもある。昨年ブレイクしたGlasvegasもそうであるが、今の若い人たちはこういった音に抵抗無く取り組めるというか、素直に自分たちの音として表現しているように思う。確かに「どこかで聴いたような」曲ばかり並んでいるという印象は拭えないが、不思議とつっこみたくならないのは、音のまっすぐさが際だっているからである。まっすぐという言い方はいささか抽象的かもしれないが、「狙い」が主張しすぎていない感じが好印象につながっているのだと思う。

 辛口で知られるPitchfolkで8.4を獲得したことが売りとなっているところもあるのだが、そういう価値観を超えたところでこの音は鳴っている。この「きらめき」をこれからも失わないでいてほしい。

 おすすめ度★★★★(26/04/09)






Paloalto
Heroes & Villains
 アメリカ西海岸出身のバンド。これまで、本国はおろか、日本や英国でもほとんど話題になっていないが、これはすごくいいですよ。最初は、タイトルに惹かれたのと(ビーチ・ボーイズ好きな人ならわかりますね)、レディオヘッドやコールドプレイの名が引き合いに出されていたので、興味本位で買ってみました。
 しかし、これが実に素晴らしかった。1曲目はもろにトラヴィス。「Writing To Reach You」を思わせる凛としたナンバー。2曲目はシングルであるが、アメリカのバンドらしい骨太さがありながら、マンサンのような湿っぽさも含まれていて、ひとえに表現するのが難しい。全曲メロディーが素晴らしく、特にメランコリックな曲がとてつもなく良い。「Last way Out Of Here」「Breathe In」は特に名曲としてもっと聴かれて欲しいと思うし、「Sleeping Citizens」や「Hangman」なんかもうたまらなく美しい。レディオヘッドやコールドプレイと共通する部分があるとは思うが、ひたすら美しさを追求しているという点で、病んだ世界を描く手段としての「美しさ」を持った前者とはかなりの違いがあるように思う。
 プロデューサーはあのリック・ルービン。リック・ルービンの作品はナイジェル・ゴドリッチとは非常に対照的で、ナイジェルはマッチ棒を積み上げていって、巨大なオブジェを完成させるような感があるが、リックは丸太を無造作に積んでいくことで、迫力のあるオブジェに仕上げていくような、そんな印象がある。しかしながら、この一見「無造作に積まれた」ような感じが、実はなかなか出せないのだと思う。素人がただぐちゃぐちゃに字を書いても、莫山先生の字からはかけ離れているように、こういった「自然体」の音を生み出すというのは、実はすごく大変なのだと思う。
 おすすめ度★★★★★(03/9/8)


Paul Steel
Moon Rock

 UKはブライトンから登場の若手シンガーソングライター、Paul Steel の1st。「弱冠22歳の”サイケデリック・ポップ・エキスパート”」という若干恥ずかしいキャッチコピーなのだが、まぁそんなに外れてはいない。サイケデリックと言うよりは、引き出しを多く持ったポップ職人という感じ。昨年のFuji Rockにも出演し、このアルバムも順調に発表されるかと思いきや、メジャー契約を解消したためしばらくお蔵入りになっていたらしい。
 それがこうやって、日本でようやく日の目を見ることになった。そもそも、これだけの作品が出せない状況って、なんか残念だ。

 本国であまり日の目を見なくても、このアルバムには確かな魅力がある。基本的には彼が曲を書き、歌い、演奏しているが、ミックスはあのトニー・ホッファーだったり、アレンジャーとしてBeckの実父、デヴィット・キャンベルが参加している。そういうがっちりしたバックグラウンドの中、彼のポップセンスは若き迸りを見せている。
 ビーチ・ボーイズ風のコーラスワークが素敵な「I Will You Make Disappear」、Fratellisばりの疾走ギターポップ「Your Loss」、ひねくれたメロディーラインにチープな演奏がどこかスーファリを彷彿とさせる「Crossed The Line」、そしてラストを飾る壮大なナンバー「Cry Away」など、実にバラエティーに富んでいる。自称「ただの音楽オタク」と言うだけあって、引き出しが本当に豊富。もう少し整理したらどうかと思うところがないわけではないが、自分の中にある表現欲求の赴くままに作品を作る姿勢には好感が持てる。また、どの曲も病的に夢見がちなところもいい。なんと言っても、素晴らしいポップが生まれる前提として「妄想」は欠かせないから。
 でも、個人的なハイライトはオープニング「In A Coma」。とにかく良い。めくるめく展開を見せるメロディーも申し分ないが、そこに歌詞の切なさが加わり、聴いていると胸がざわざわする。ポップソングの定義が「どうしようもないもどかしさを表現したもの」としたら、この曲は完璧なポップソングだと思う。この1曲だけでも聴いてやってはくれないでしょうか?

 おすすめ度★★★★(23/11/08)

http://www.myspace.com/paulsteel


Peter Bjorn and John
Living Thing

Surf’s Up Peter Bjorn and Johnの最新作。前作はFMでもよく流れていたし、CMでも使われたりしていたわけで、北欧独特のポップさが非常に支持されていたのだなと思う。

 さて、今作であるがYoung Folksばりのどキャッチーな曲がないぶん、地味な印象を受けるかもしれない。リードトラックであるLay It Downにしてもフックはあっても前面に押し出すようなところは無く、アレンジも控えめである。

 適度なローファイサウンドとでも言おうか、あまり熱を帯びないスタイリッシュな感じで、雑多な要素を見事にまとめ上げている。率直に言うと、そのスマートさが物足りなさにつながっているところもある。かっこいいんだけど、もう一つポップミュージックとしての求心力に欠けるようなところも見られる。

 しかしながら、そこは聴き手の感性次第なのかなという気もする。つまりは完成度の高さを持って一方的に提示するようなタイプの音楽ではなく、聴き手のセンスとのケミストリーによって如何様にも変わるポップなのだろうと思う。よく練られているが、ありがちな密室性はここにはない。聴き手の入り込む余地をうまく作っている(自分はなんとなくすんなり入り込めないのだが・・・)。

 所々にTalking Headsあたりのテイストを感じたり、Beckのようなスペイシーなモダン・ポップもあったりと前作よりもさらにそのポップセンスは広がりを見せている。ただ個人的にはあんまりスタイリッシュでなくても、メロディーを前面に押し出した曲をいくつか入れても良かったんじゃないかと思う。というくらい、いいメロディーを持った曲が多い。才能、センスは随所に感じられるアルバムだと思う。

 おすすめ度★★★(18/04/09)



Peter Doherty
Grace Wastelands

Surf’s Upピートじゃなくてピーターだったのか・・・

 とにもかくにも今をときめくお騒がせ男、放蕩息子、セックスシンボル・・・と極めてロックらしい言葉がいくつでも浮かんでくるピーター・ドハーティーの1stソロ。リバにせよベビシャンにせよ、とにかくこの男の才能は誰もが認めるところなのであるが、個人的には僕はあんまりピーターのことが好きではなかった。

 リバのアルバムはどちらも好きだし、カールのDirty Pretty Thingsも1stはリバに負けないくらい愛聴していたが、どうもベビシャンだけは興味が湧かなかった。理由は、ドラッグで破滅的なイメージにすごく拒否反応を覚えてしまうからだ。こればかりはうまく説明が付かない。自分が好んで聴いてきたロックの中にも、ドラッグの影響を受けたものは間違いなくあるはずで、ブライアン・ウィルソンやビートルズさえそうなのだから、なぜピーターだけ受け付けないのか、自分の考えは可笑しくて理屈に合わないことはわかる。生理的にダメだったと言うことなのかもしれない。

 それでも、時々You Tubeでアコギをかき鳴らしながら歌うピーターを観ることがあり、そのかっこよさといったらもう半端無い。よれよれで、決して清潔感があるとはいえない身なりであっても、歌っているときはめちゃめちゃかっこいい。そして、ピーターのアコギの音はすごくきれいだと思う。何というか陳腐な言い方だが、ピュアな音色。プレイしているときに全てから解放されているような美しい響きなのだ。

 こういうのを天才というんだろう。音楽の才能はもちろんのこと、パフォーマンス一発で魅了してしまう魔力。一時期迷走していたデヴィット・ボウイも(Tin Machineというバンドをしていた頃)、アコギ一本でSpace Oddityをやるだけで最高にかっこいいと思ったことがあった。

 と。少々前置きが長くなったが、このアルバムはつまりそういう魅力にあふれたものになっている。アコースティックな弾き語り形式を主体にしたピーターの魅力全開のアルバムだと思う。 ピーター独特のメロディーセンスはここでも健在で、正直聴いたことのあるような曲が無いわけではないが、不思議と新鮮に聞こえる。ライナーノーツを観ると、グレアム・コクソンがほぼ全編にわたってギターで参加しているとのこと。グレアムのギターは主張しすぎず、ピーターの描き出す世界にうまくアクセントをつけている。

 一見無造作に見えて、しっかりまとめ上げられているのはスティーヴン・ストリートの功績だろう。シングルLast Of The English Rosesの無国籍テイストや、歌謡曲なA Little Death Around The Eyes、R&BテイストのPalace Of Boneといった楽曲の個性を殺すことなくジグソーパズルのように「そこにある必然性」を持たせている。

 というわけで、かなり力の入ったソロというか、ベビシャンよりもずっとずっとピーターの凄みを感じられるアルバムだと思う。聴けば聴くほど味わい深い。

 おすすめ度★★★★(18/03/09)



The Polyphonic Spree
The Begining Stage Of・・・/
 25人編成という近年ではベルセバを思い起こさせるような大所帯バンド。NMEの年間ベストアルバムでも上位に入っていたように、本国でも高く評価されているようである。
 オープニングの「Have A Day/Celebratory」は神々しいゴスペル調の曲。25人という構成を生かした分厚いハーモニーが特徴的な美しい曲である。ビーチボーイズのように美しさと荘厳さをうまくポップスにすることができる技量を持っている。また、Spiritualizedの「Let It Comes Down」が好きな人なら必ず気に入ると思う。アルバム全体を見ると、幾分アップテンポな曲もあったりとバラエティーに富んでいて、飽きずに聞ける。メロディーもかなりキャッチーである。正直言うとコーラスの厚さが時々くどく感じられることもあるのだが、これは好みの問題であって、クオリティー的にはかなり高い。「Soldier girl」「Light&Day/Reach For The Sun」はかなりの名曲です。
 おすすめ度★★★★☆(02/1/10)

Together We're Heavy
 前作「The Beginning Stages of...」はロックの重厚感と浮遊感が交互に訪れるような不思議な味わいのあるアルバムであった。ゴスペルの要素が濃い分、宗教的なものを所々に感じるものの、さほど重苦しくらなかったのはメロディーのポップ感にあると思う。追求する世界の深さと、驚くほどのポップセンス・メロディセンスという二律背反の持ち味が彼らの魅力なのだろう。予想としては次の作品はもっと重いものになるのではないかと思っていたのだが、思いっきり逆であった。前作よりも更に聞きやすくなっている。メロディーは更に美しくかつポップに練り上げられている。所々ビートルズであったり10ccだったりBeach Boysだったり、まるでXTCばりの良質ポップである。そして、そこに重厚なコーラスが加わることによって、The Polyphonic Spree特有のシンフォニック・ミュージックとなるわけである。ただ、仮にコーラスが無くて弾き語りのような形であっても、この楽曲群は十分に光り輝く力を持っている。それくらい1曲1曲がしっかりしていると思う。
楽曲の充実度は前作を上回っている分バンドは成長していると思う。ただ、これだけ楽曲が素晴らしい事を考えると次作ではもっと自分たちの世界観を突き詰めてほしいとも思う。まだまだアクセルを調節してドライヴしている。アクセルを踏み抜くくらいやってほしいものだ。

 おすすめ度★★★★(04/8/27)


Primal Scream 
Evil Heat
 ケヴィン・シールズが多くの曲で仕事をしている。こんなところでやってる場合か、とも言いたくなるが、まさにキャッチコピー通りエレクトロ・ガレージ・パンクである。本当に彼らの作品には延長線上というのがない。よって前作が気に入っても今作が気に入るとは限らない。ちなみに僕が一番好きなのは、「PRIMAL SCREAM」である。メロディーが良いから。悪いか。ただ、今作も意外とメロディーはしっかりしている。エレクトリックでありパンキッシュであるが、メロディアスでもある。ただ、好みかどうかといえば、うーん・・・といったところ。でも、「ミス・ルシファー」は最高。今年のベストシングルかも。
 おすすめ度★★★☆(02/8/16)
Beautiful Future

 プライマル、通算9作目のアルバム。前作は迷いのないストレートなルーツへの回帰を果たし、個人的にはそのシフトチェンジが大いに成功したと思う。「Give out〜」の失敗から、もうこの路線はないんじゃないかと思っていたが、その想定外なところがなんとも彼ららしくて、古いフォーマットのロックが実に新鮮に響いた。常に挑戦的な姿勢こそがロック、まさにそんな道のど真ん中を走り続けてきた彼ら。「前作の延長線上にあるような作品は決して作らない」という心意気が未だ健在なのは素晴らしい。
 今作は多くのプロデューサーを迎え、適所適材な「何でもあり」路線でアルバムを構成している。1曲目Beautiful futureの直球ギタポにはあっけにとられたが、彼らにとっては全然「あり」なこと。
 ギンギンのアッパーチューン、Can't Go Backや前作よりもさらにアーシーなZombie Manなど今作は今までの中で一番バラエティーに富んだ内容だと思う。でも何というか、曲自体は決して悪くないのに、心を素通りして残らない。はっきりした方向性を出さずに、ある程度シーンを意識した構成というのは、実はプライマルにしては「安全策」のような気がしてならないのだ。誤解を招いてしまうかもしれないが、プライマルのロックから僕は何度も「贋作」が「本物」を凌駕する瞬間を見てきた。それこそがロックの持つ魔法だと思っている。そしてその魔法を使うには、自分たちのロックに対する「絶対的な確信」が必要だと思うのだ。今作はその「確信」の部分がやや弱く見える。シーンに決して迎合しないでリミッターを振り切ってしまうようなロックをもう一度見せてほしいなと思う。

おすすめ度★★★☆(08/22/08)
Can't Go Back




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