The Pains Of Being Pure At Heartは2007年初頭に結成され、ニューヨーク・ブルックリンで活動している4人組。
紹介の言葉も、ネオアコ、ギタポ、アノラック、シューゲイザー・・・と魅力的な物が並ぶ。そして、実際その通りの音というか甘く心地よいメロディーに、ギターのキラー・フレーズという限りなくかつてのUKギターロック王道の音である。この手の音が好きな人なら、間違いなく引きつけられる音だろう。男女混合のツインヴォーカルであるが、どちらかというと男性ヴォーカル主導で、女性の方はコーラスに近い。
ノイジーなギターに、メロディアスな歌という構図は全く珍しいものではなく、多くのフォロワーを生んできたフォーマットでもある。昨年ブレイクしたGlasvegasもそうであるが、今の若い人たちはこういった音に抵抗無く取り組めるというか、素直に自分たちの音として表現しているように思う。確かに「どこかで聴いたような」曲ばかり並んでいるという印象は拭えないが、不思議とつっこみたくならないのは、音のまっすぐさが際だっているからである。まっすぐという言い方はいささか抽象的かもしれないが、「狙い」が主張しすぎていない感じが好印象につながっているのだと思う。
辛口で知られるPitchfolkで8.4を獲得したことが売りとなっているところもあるのだが、そういう価値観を超えたところでこの音は鳴っている。この「きらめき」をこれからも失わないでいてほしい。
おすすめ度★★★★(26/04/09)
アメリカ西海岸出身のバンド。これまで、本国はおろか、日本や英国でもほとんど話題になっていないが、これはすごくいいですよ。最初は、タイトルに惹かれたのと(ビーチ・ボーイズ好きな人ならわかりますね)、レディオヘッドやコールドプレイの名が引き合いに出されていたので、興味本位で買ってみました。


25人編成という近年ではベルセバを思い起こさせるような大所帯バンド。NMEの年間ベストアルバムでも上位に入っていたように、本国でも高く評価されているようである。
前作「The Beginning Stages of...」はロックの重厚感と浮遊感が交互に訪れるような不思議な味わいのあるアルバムであった。ゴスペルの要素が濃い分、宗教的なものを所々に感じるものの、さほど重苦しくらなかったのはメロディーのポップ感にあると思う。追求する世界の深さと、驚くほどのポップセンス・メロディセンスという二律背反の持ち味が彼らの魅力なのだろう。予想としては次の作品はもっと重いものになるのではないかと思っていたのだが、思いっきり逆であった。前作よりも更に聞きやすくなっている。メロディーは更に美しくかつポップに練り上げられている。所々ビートルズであったり10ccだったりBeach
Boysだったり、まるでXTCばりの良質ポップである。そして、そこに重厚なコーラスが加わることによって、The Polyphonic Spree特有のシンフォニック・ミュージックとなるわけである。ただ、仮にコーラスが無くて弾き語りのような形であっても、この楽曲群は十分に光り輝く力を持っている。それくらい1曲1曲がしっかりしていると思う。
ケヴィン・シールズが多くの曲で仕事をしている。こんなところでやってる場合か、とも言いたくなるが、まさにキャッチコピー通りエレクトロ・ガレージ・パンクである。本当に彼らの作品には延長線上というのがない。よって前作が気に入っても今作が気に入るとは限らない。ちなみに僕が一番好きなのは、「PRIMAL
SCREAM」である。メロディーが良いから。悪いか。ただ、今作も意外とメロディーはしっかりしている。エレクトリックでありパンキッシュであるが、メロディアスでもある。ただ、好みかどうかといえば、うーん・・・といったところ。でも、「ミス・ルシファー」は最高。今年のベストシングルかも。