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Review Q - 

くるり
くるり
The World Is Mine
 前作「チームロック」は、本当に良く聴いた。それまでのくるりは、なんとなくポストロックを意識しすぎていて、彼らの本質的な魅力である親しみやすいメロディーが損なわれていた感じがしていた。その閉じた殻を大きく破ったのが「チームロック」であった。「ワンダーフォーゲル」「ばらの花」「リバー」など心に素直に伝わってくる曲がたくさんあり、「やっとくるりも外に出ることを決意したのだな」と感じさせてくれたそんな愛すべき作品であった。
 今回の新作であるが、やたら絶賛されていた「ワールズエンド・スーパーノヴァ」は僕にはしっくりとこなかった。アルバムは基本的にその雰囲気を踏襲した感じで、僕にはもう一つ前作のような良さが伝わってこなかった。また彼らは新しい殻を作ろうとしているのか、またはくるりの世界には僕の居場所はないのか。クオリティが高いのはよくわかるだけに、ちょっとしたもどかしさを感じるのだが。
 おすすめ度★★★(02/5/07)


アンテナ
 シングル「ロックンロール」がとても風通しの良いナンバーで、僕もとても好きな曲である。高揚感があり、シンプルながら力強い、これからのくるりを代表するナンバーであると思う。僕以上に妻がこの曲を好きだということからも、力がありリスナーを選ばない柔軟性を持った曲である。しかし、このナンバーを聴く限りアルバムもこのような勢いのあるロックチューンが並ぶのかと思いきや、そうではなかった。アルバムの1曲目は「グッドモーニング」岸田の声がとても優しげなスローなナンバーである。僕がプロデューサーなら、間違いなく今回のアルバムの1曲目は「ロックンロール」にしていたと思う。それくらいこの曲にはインパクトがあると思ったからなのだが、そう単純にはいかないくらいこのアルバムは深い。全体からいくと「グッドモーニング」や「Morning Paper」「Home Town」「黒い扉」といった曲が配されたこのアルバムは非常に多様かつ緊張感がある。そこからも、現在のくるりの音楽がどんどん広がってきているという印象を受けるのだが、曲的には「How To Go」のようにゆったりとしたグルーヴを持った曲が多くて、「ロックンロール」のようなチューンは他にはない。個人的にはそういったナンバーが2,3曲あるとアクセントがつくのではないかと思うのだけど、捨て曲無しのクオリティーなので問題なく聴けてしまう。特に前半の流れは最高です。詩も今まで以上に充実していると思います。また、一般的にはヘヴィーな印象を持たれるかもしれないが、「The World Is Mine」に閉塞感を感じた僕にとってはすごく取っつきやすく感じます。それはきっと、今回のアルバムが今の彼らのモードを素直に表現した形であると思うからです。最高傑作ではないでしょうが間違いなくいいアルバムです。
おすすめ度★★★★☆(04/3/16)
NIKKI
 くるりの最新アルバム。もうあちらこちらで言われているとおり、「さよならストレンジャー」以来のメロディーが立ったアルバムである。一重にメロディーが良いといっても、くるりの違うところはあらゆるタイプのグッドメロディーが散りばめられているというところだ。「Bus To Finsbury」は60年代UKを代表するバンドKinksのようなポップかつタイトなメロディーだし、「Baby I Love You」はBeach Boysのようにハーモニーを効果的に使った柔らかなメロディーを紡いでいる。「雨上がり」という曲は個人的にはチューリップのようにも聞こえる(岸田はチューリップ好きらしい)。僕が一番好きなのは「お祭りわっしょい」という曲でアルバム中一番ラウドな曲である。本当にバラエティー豊かに「良い曲」の詰まったアルバムだと言える。
 これだけのものを作れるだけでもすごいと思うのだが、個人的にはバンドサウンドというかグルーヴの面で少々物足りなさが残るのも事実である。先日コンビニで突然店内放送で「街」が流れたとき、思わずそこに立ちつくしてしまった。この曲が収録されている「図鑑」や前作「アンテナ」では、単純に聞き流せないインパクトがすごくあるのだが、このアルバムにはそういう要素が希薄であるような気がするのだ。サポートとしてツアーも一緒に回っているクリフ・アーモンドのドラムはライヴでもCDでも迫力があり本当に素晴らしい。全曲叩いているわけではないからかもしれないが、作品としてみると音のエッジがもう少し立っているともっとすごいアルバムになっていたと思うのだ。まぁ、好みもあると思うが個人的には「アンテナ」の重厚さに、このメロディーが乗っかったらなぁと思う。
 それでも、我が敬愛するTFCの新作アルバムがもうひとつグッと来るものでなかったのに比べると、「よくぞやってくれた!」と拍手を送りたくなる。やっぱりメロディーというものは大切だ。そういった基本に忠実に作られたアルバムだと思う。そう、基本ほど難しいものはないのだ。
 

おすすめ度★★
★★(05/11/29)
魂のゆくえ
Surf’s-Up くるりのニューアルバム。初回限定盤には「謎の板」なるものが封入されていて、それを使った謎解きは今も続いている。くるりと僕たちをつなぐストーリーなのらしいが。

 アルバムごとに明確なスタイルを持っているくるりであるが、今回は「ルーツロック」という今まででは一番地味なフォーマット。ギター・ベース・ドラムのシンプルな構成に時々メロウなピアノが重なる。

 R&Bテイストが強く、前作のような壮大さや流麗さとは違ったところで鳴っている感じ。1stあたりのフォーキーなテイストも垣間見える。とにかく、これまでで一番シンプルなサウンドと言っていいだろう。

 しかしながら、内容の充実度は「さすがくるり」といった感じで、骨太なブルースから軽快なポップまで、しっかり「らしさ」を演出しながら味わいのある作品に仕上げている。

 個人的には「太陽のブルース」「デルタ」といったしみじみとしたスローナンバーが秀逸だと思う。「夜汽車」「魂のゆくえ」での肩の力が抜けた感じも好きだ。ドライブ感のあるダイナミックなナンバー「Natuno」も素晴らしい。サビの即効性に頼らない、じわりと広がっていく柔らかな曲が多い。そして、聴くたびに味わいが変わっていくのがこのアルバムの魅力でもある。

 驚くべきは、シンプルながらも力強いバンドサウンドだろう。もはやメンバーは2人だが、今までで演奏に一番グルーヴを感じる。サポートメンバーとの演奏であるが、まさに「ルーツロック」的な阿吽の呼吸を感じる。

 つまりはそこが、このアルバムの聴かせどころだろう。前作でクラシックの中に普遍性を見つけ、自分たちの音楽を解放しようとしたが、そこで得た自信がこの素直なバンドサウンドへ結実したのだろう。派手さも奇も衒わない。それゆえ渋いという感想が多いが、確かにそういえるかもしれない。それでも、何度も聴きたくなるだけの吸引力を持ったアルバムである。個人的にはこれまでで一番好きなアルバム。
おすすめ度★★★★☆(20/06/09)









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