ノルウェーのエレクトロユニット、ロイクソップのニューアルバム。通算3枚目となる「Junior」であるが、この後に「senior」という新作のリリースを控えているという。タイトルから予想されるように、「Junior」と同時期に制作されながら、違った側面を持つアルバムのようである。
で、この「Junior」であるが、全体的に音は非常にポップで歌メロが立ったものが多い。そして女性ヴォーカルをフィーチャーしたものが半分を占める。なので曲単位で聴くと、どこかの女性ポップアーティストの曲なのかと思ってしまう。エレクトロ的ではあるが、歌メロの完成度の高さからどちらかというとポップソングとしての機能性を持った曲が多いように思う。
ただ、それだけであれば自分の食指が動くわけがない。自分にとってこのアルバムの魅力的なところは、バックトラックの大胆さである。
例えばThe Girl And The
Robotは「ぶっちゃけ、もろYMOではないですか」というくらい、オリエンテッドなシンセ音が鳴らされている。この「やりすぎ」一歩手前な感じ。このスレスレ感が非常に心地よいのだ。全体的にハッピーなムードを持った曲が多いのだが、そういう大胆なアレンジによって、その裏にある悲哀をうまく表現していると思う。アルバムを聴き終わった後に感じる不思議とメランコリックな気持ちは、彼らの狙っているところのように見える。
個人的には歌のないものが好みであるので、タイトルそのまんまのリードトラック、Happy Up
Hereやアルバムの中でダークなテイストを持つSilver Cruiser、ストリングスが効いた壮大なナンバーRoyksopp
Foreverが好き。歌入りでは前述のThe Girl And The Robot、ちょっとひねた感じのIt's What I Wantがいい。
おすすめ度★★★☆(12/04/09)