Silversun Pickupsの2ndアルバム。前作Carnavalも良質な楽曲が並んだ好盤であったが、2ndではさらなる飛躍を遂げている。
グランジの影響をもろに受けたようなディストーションギター、咆吼するハイトーンヴォイスなど、確かに「スマパン」という単語が浮かぶ。この辺は前作と同じであるが、今作では全体的にサウンドのアグレッシブさが増し、スケール感がアップした。
ディストーションのテイストもシューゲイザーというよりは明らかにグランジ寄りで、荒ぶる感情を音のざらつきへと変換しているようなエモーショナルさを感じる。
ストリングスの絡み方がスリリングな The Royal We ,ディスコティックなベースラインから極みへと上り詰めるGrowing Old Is
Getting Oldなど楽曲の幅も広がった。そして、良質なメロディーは失われておらず、更なる冴えを見せている。
また、ヴォーカルの方も歌い方に余裕が出てきたというかちょっとエロティックな雰囲気さえ出てきた。これが非常にこのアルバムのポイントになっていると思う。ビリー・コーガンの場合、やり場のない感情のエクスプロージョンゆえに、あのスタイルが生まれたのではないかと思う。それくらいの必然性を持って「あの声」は聴き手に迫ってきた。Silversun〜の場合は、そういうところよりももっとテクニック的な意図を感じる歌声である。
そこをどうとらえるかだと思うが、僕は今の形がバンドの「自然な姿」だと思うし、その姿は凛としていてとても美しいと思う。
おすすめ度★★★★(02/05/09)