Van Sheはオーストラリアのバンド。本国ではVan She Techという名でDJもしている。タワレコでは「ニュー・オーダーを思わせる」と書いてあったので、思わず購入した。で、一聴した感想はいわゆるはやりのシンセロックではあるのだが、Killersからグラマラスなテイストを抜き、ニュー・ウェーヴテイストを少し加えた感じ。ジザメリを思わせるような甘美なギターサウンドも所々に見られ、ギターロックファンにも大いにアピールできる作品だと思う。
80年代を思わせるメロディーのわかりやすさと、仄暗いところからグイグイと広がりを見せるスペイシーなサウンドがこのバンドの魅力。また、DJをしているというだけあって、ブレイクの入れ方などは実に上手いし、自分たちの音楽的バックボーンを違和感なく昇華させているセンスは見事だ
アルバムの構成からいくと、KellyやStrangersのようなポップ調のものが多い中、個人的にはIt Could Be The Same
のような後半ギターが暴れる激情型のナンバーがかっこいいと思った。もっとこういうテイストのナンバーが多かったら好みではあるが、明らかにトレンドではない。今の時代において、すごく個性的かというとそうは言えないのだが、全体的な楽曲のクオリティーの高さは間違いのないところ。
そして、聴き終えた後の清涼感は癖になるかもしれない。サイダーみたいなロックですね。
おすすめ度★★★☆(24/02/09)

ロンドン出身のバンド。近頃のラフ・トレードは充実しているのでかなり期待して聴いてみたが、期待通りの良さである。冒頭の曲「The Wild
Son」のイントロを聴けば分かるとおり、ドラマチックなメロディーと若干グラマラスなヴォーカルが特徴的である。曲調的にはバラエティーに富んでいるが、その1曲1曲が即効性を持っていて、よく比較されているスウェードを凌駕するほどの叙情性を兼ね備えている。ストリングスの使い方を含め、サウンドプロダクションがそれだけ自分たちの持つ叙情的な部分を表現することに成功していると言うことなのだろう。バーナード・バトラーが何曲かプロデュースしているとのことで、しなやかにからみつくギターサウンドも一つの聴き所であると思う。スウェードファンだけでなく、UKロック好きなら気に入る人がたくさんいると思う。
ベスト盤。これ、結構売れているそうです。僕は彼らについてはファーストとセカンドしか聴いたことがありません。セカンドの「TEENAGE SYMPHONIES
TO
GOD」は初めて聴いたアルバムで、タイトルがビーチボーイズの「スマイル」のキャッチコピー(神に捧げる十代の交響曲)と同じというだけで買ったのですが、その年の愛聴盤となりました。ティーンエイジ・ファンクラブと並ぶ爽快ギターバンドとして僕の中で君臨していたのですが、サードがイマイチで試聴しただけで買うのはやめました。なんとなくその頃を懐かしく想い買ったのですが、やっぱり1stと2ndの曲がずば抜けて良いです。つまり1曲目から14曲目までで満足。メロディの甘酸っぱさがとても心地いい一枚。
最近ネットでよく目にしていたバンドだったので、購入。アメリカのバンドであるが、最初は絶対イギリスのバンドなのだと思った。つまりは、そういう音作りをしているバンドである。「The
Prize Fighter」のようにポップなものもあれば、「Red Like
Roses」のように「OKコンピューター」時のレディオヘッドのような曲もある。非常に幅広いソングライティングが印象的だ。ただ、ここまで幅が広いと普通なら散漫な印象を抱きがちであるが、この作品には不思議な統一感がある。非常に説明が難しいが、ギターロックのあらゆる可能性を追求していこうとする姿勢がはっきりと現れている部分で、まとまりを感じる、といえばいいか。本人たちがそんな風に考えているかどうかはわからないが、僕はそう感じる。そして、曲が抜群にいいのも魅力的だ。これだけ多彩に、しかも素晴らしい曲を書けるのに、あまりメジャーでないのはなぜだろう。VOLOVANもそうであるが。現在のエモ・ブームにうんざりしているだけに、もう少し認知されてほしいバンドである。
最初はミニアルバムと紹介されていたが、今作は収録時間は短いもののすべての曲がある縦糸を通して見事につながり合ったコンセプトアルバムとなった。前作と比べるとギターロック的な部分は鳴りを潜め、ピアノやオーケストレーションがフィーチャーされた静的なアルバムとなっている。とはいえ、その静的なサウンドに実は色々な感情が込められていて、本来はもっと簡単に表現できるものをあえて、これまでとは違った形でなされているような気がします。彼ら本来の美しいメロディーも健在ですが、一聴してすぐ分かるという感じではなく聞き込むたびにじわじわと伝わってくる感じです。しかし、今回あえてそういうサウンドプロダクションを選んだ分、彼らの描く世界というのは大きな広がりを見せた気がします。そして、このアルバムを通して聴いただけで、一つの映画を観たような気分になります。正直なところ次の作品では、「Out
Of
〜」のようなかっこいいギターサウンドや、宗教色の消えた俗っぽさのある曲も聴きたいのが本音ですが、このアルバムで今の彼らのやりたいものは充分表現し切れていると思います。

ロックンロールの持つうねりと、グランジの激情と、ポップなメロディーセンスを持つ希有のバンドである彼ら。前作に比べるとサウンド面で遥かに進歩している。一言で言えば「すっきり」した感じであるが、前作よりもサイケ感が出されていてバンドの新しい色を出すことにもすごく意欲的に取り組んでいる。
すっかり久しぶりな感じのするThe Vinesの4枚目。いろいろゴタゴタがあり、活動が順風満帆と行かなかったことが実に悔やまれるバンドだ。かつてのStone Rosesしかり、思わぬところでバンドが停止状態に陥ってしまうことで、良い状態を失ってしまうことはよくあることではあるが、その後、才能の断片にふれるたびに「もったいないな」という気分にさせられる。
The Virginsのデビューアルバム。NY出身の3ピースバンドで、人気ドラマの挿入歌にバンドの曲が利用されたことにより、人気に火がついたとのこと。
これはいいですよー。以前にタヒチの新作の時に「ギターポップはもう食傷気味だ」と思っていたのですが、これは気に入りました。VOLOVANの詳しい情報はわからないのですが、アンディ・チェイスがプロデュースをしています。アンディ・プロデュースということで、もちろんタヒチ80、FOWばりのギターポップ全開です。何せ曲がいい。「Ella
Es
Azul」(傑作!)を始め、とにかく名曲揃い。2002年度発売と言うことで、昨年出会っていたら間違いなくベスト10入りしていた素晴らしいアルバム。つまらない説明不要。タヒチ80、FOWが好きな人はもちろん「ギターポップ」を愛する人なら必聴!!