サンディエゴ出身のネイサン・ウィリアムスのプロジェクトであるWAVVES。
暴力的にノイジーなサウンドに力の抜けたローファイ・メロディーという構図から、なんとなくNo
Ageあたりの名前が浮かんでくるが、彼らよりも幾分「行っちゃってる」感が強い。サーフサウンドをさらに過激なアレンジにしたような曲があったり、初期ベックを思わせるようなフリーキーなローファイポップもあるが、一貫しているのは奥底に流れる「得体の知れ無さ」だ。
縦横無尽にかき鳴らされるギターノイズと、グルーヴを形成しているのかどうかはっきりしないリズム。音質もモッコモコ。個人的には更に狂ったPIXIESみたいな、そんな姿が浮かぶ。不思議とどこに重点を置いているのかがわからない音であるが、おそらくそこがこのアルバムの肝なのだと思う。
メロディーを聴かせたいとか、いい演奏をしたいとかそういう意志でならすのではなく、とにかく「振り切れてしまう」こと。ロックの「その先」を見せてくれるバンドはそうはいない。手加減ゼロ、抑揚なしのガチンコサウンドは、これはこれでなかなかクセになる。
ギターロックの飽和状態がますます進んでいく中で、一つの方向性を示しているような作品。
おすすめ度★★★★(21/05/09)

前作「ザ・グリーンアルバム」で劇的な復活を遂げたWeezerの1年ぶりの新作。一昨年サマソニでの猛烈な歓迎ぶりは今でも忘れられない。「ウィーザーってこんなにファンがいるの?」というくらいの大歓声が巻き起こり、彼らもそれに応えるかのように「MY
NAME IS
JONUS」から1stの頭三曲を立て続けにやってのけた。ただただうれしかった僕であった。それからしばらくたって「ザ・グリーン・アルバム」が出た。曲の出来は相変わらずすばらしく、流れ的にもう少し抑揚をつければ完璧だな、さすがはウィーザーだなと思わせてくれた。
「Beverly Hills」「Perfect Situation」この頭2曲を聴いただけで本当に胸が熱くなった。僕はWeezerに関してはどちらかというと「ピンカートン」派で、このサウンドの復活はもう涙ものなのだ。「ピンカートン」後の長い沈黙の後復活した「グリーン・アルバム」では完全無欠のポップネスを見せつけ健在ぶりをアピールしたが、妄想が暴れ出すような彼ら独特のエモーショナルな表現が抜け落ちているような感もあった。次の「マラドロワ」はサウンドとメロディーのバランスを欠いた感があり、合格点をあげられるようには感じなかった。そこからバンドはまた長い冬眠に入った。そして、このアルバムは「目覚め」となったわけだが、この長い冬眠が決して無駄でなかったことを思わせるくらい,,「さすがWeezer」と思わせるくらい、ひねりのきいたポップソングが並んでいる。
デイヴ・フリードマンプロデュースのギターバンド、というだけで買ってしまった一品。もっとサイケっぽかったり、流麗な感じを期待していたけど、全然違いました。1曲目「I
Met A
Girl」はシングルだけあって非常にキャッチーで瑞々しいメロディーが光るいい曲。その後も、非常に陽性なアメリカのギターバンドらしい乾いた質感のロックを聴かせてくれる。デイヴ・フリードマンはこういうバンドもプロデュースするのですね。彼が手がけた作品でこういう勢いのある感じのものは初めてです。ただ、作品を通してバンドの個性はあまり感じられませんでした。ソングライティングの力は結構あると思うので、デイヴの仕事はそれを一皮むいてやることなのだと思うのだけど。ESPが「これぞ自分たちの世界」というものを強烈に提示しているのに比べると、やや物足りなさが残るのです。
