サンディエゴ出身のネイサン・ウィリアムスのプロジェクトであるWAVVES。
暴力的にノイジーなサウンドに力の抜けたローファイ・メロディーという構図から、なんとなくNo
Ageあたりの名前が浮かんでくるが、彼らよりも幾分「行っちゃってる」感が強い。サーフサウンドをさらに過激なアレンジにしたような曲があったり、初期ベックを思わせるようなフリーキーなローファイポップもあるが、一貫しているのは奥底に流れる「得体の知れ無さ」だ。
縦横無尽にかき鳴らされるギターノイズと、グルーヴを形成しているのかどうかはっきりしないリズム。音質もモッコモコ。個人的には更に狂ったPIXIESみたいな、そんな姿が浮かぶ。不思議とどこに重点を置いているのかがわからない音であるが、おそらくそこがこのアルバムの肝なのだと思う。
メロディーを聴かせたいとか、いい演奏をしたいとかそういう意志でならすのではなく、とにかく「振り切れてしまう」こと。ロックの「その先」を見せてくれるバンドはそうはいない。手加減ゼロ、抑揚なしのガチンコサウンドは、これはこれでなかなかクセになる。
ギターロックの飽和状態がますます進んでいく中で、一つの方向性を示しているような作品。
おすすめ度★★★★(21/05/09)