Column - 

Fuji Rock Festival 04


久しぶりにテントで過ごした一夜。思ったよりぐっすりと眠れた。でも、きっと耳栓のおかげだろう。朝から、雨がテントをたたく音が。

しかしながら、次第にその雨もやみ、日が差すとテントの中はものすごく暑くなる。少し早いかなと思ったが、9:30にはグリーンステージを目指すことにした。

朝食を取りながら、10:00頃にグリーンステージに行くと、すでに至る所に木の枝や葉っぱ、怪しい鳥の置物などが飾られてあった。

 そう、グリーンの一発目はBritish Sea Power。メンバー登場からして、キーボードのイーモンは側転しながらやってくる。

 1曲目から、テンションの高いナンバーが続く。そして、朝イチだというのにイーモンはいきなり太鼓を持って観客席に飛び込む。アルバムのようにすごくエネルギーが感じられるステージだ。パンキッシュなナンバーから、サイケデリックなものまで幅広さが彼らの特徴ではないかと思うが、アルバムを聴いているよりもライヴの方がサウンドにエッジがありメロディーが際だっていたように感じた。最後の方になると、ギターのノーブルは歯でギターを弾いたり、しまいには他の人にギターを弾かせて空手のまねのようなポーズをとっている。イーモンは逆立ちしたりと、わけわからんなー、このバンド。イーモンはメンバーが去った後もしばらく観客の中にいて、頭をゴンゴンたたかれていました。ちなみに、ノーブルはこの後ヘヴンやパレス・オブ・ワンダーなどで何度も目撃しました。

 この後は、昼過ぎからのSnow Patrolまで時間があるので、アーティストグッズをチェックしようとショップに並ぶと、なんと2時間も待つ羽目になってしまいました。ちなみにシャーラタンズとBSPのTシャツを買いましたが、買った後ダッシュでレッド・マーキーへ。

 ギリギリ間に合ったスノパト。たぶん全部「Final Straw」からだったと思うが、アルバムの雰囲気よりもラフで、メンバーもアクションが結構激しい。音楽性とはまた違った感じなのだ。「F××K」とか言っているし。

若干残念だったのが、「Run」のようにスロウな曲になると、ちょっとほころびが見られたこと。ミディアムスローなナンバーが多いゆえに少し気になりました。でも、観客が多くてびっくりした。人気あるんだな。

 またまた急いで、グリーンへ。そうHavenだ。ゲイリーひげづらだ。僕は別にいいけど、女の子には不評ではないかな。1曲目の「Tell Me」をはじめとして2枚のアルバムから代表曲をがんがん繰り出してくる。なんとなく過小評価されているような気がするバンドなんだけど、僕は本当に好きだ。「Say Something」「Till The End」「Let It Live」など惜しげもなくどんどん出してしまうあたりもいい。ゲイリーは意外と陽気な人で、日本語しゃべったり、ステージで写真とったりとはしゃいでいました。最後は「All For The Reason」で締めたが、どっかの兄ちゃんが「こういうのじゃなくて、もっとしっとりとした曲やって欲しかった」とか言っていました。僕はそうしなかったHavenが好きです。

さすがにちょっと疲れて休みたいところだったんだけど、急いで昼食(もち豚)をとって、ルースターズへ。

 個人的なことを言うと、さほどルースターズには思い入れはない。ただ、自分が子どもの頃から名前はよく耳にしていたし、存在の大きさというものも感じていた。その後のシーンの中で、ミッシェルという怪物が出てきたのもあきらかに彼らの存在抜きにはあり得なかったように思う。
 
 知っている曲は数曲しかなかった。思い入れのある人はたくさんいると思うので、安易なコメントは控えさせておく。大江慎也はしばらく介護などをしていて音楽から遠ざかっていたらしいのだけど、全然ブランクのようなものは感じなかった。20年ぶりというのも信じられないくらいであった。

 ずっと立ちっぱなしであったせいか、手足が異常にむくんできた。結婚指輪が痛くなってくる。P.J.Harveyを遠くで聞きながら、少し休む。

 ちょっと休んで、さぁPixiesだ。グリーンステージはかなり埋まっている。こんなにファンがいたのか?僕より若い人もたくさんいる。リアルタイムで聴いていなくても、好きな人が多いのが分かる。

 そして、いよいよ登場。いやーハゲデブ健在です。というか他のメンバーにもはげうつっていたよ。キム姉さんはずっとニコニコ。昔はもっと硬派な感じがしたけどなぁ。1曲目「Bone Machine」からフランク全開です。全く衰えていません。観客もかなり興奮していました。やる曲やる曲みんな知っているというリアクションがたまりませんでした。

 初期のアルバムを中心に20曲(以上やったと思う)、立て続けにやりまくって、彼らは去っていきました。外見的にはともかく、10年以上の年月を感じさせないプレイは圧巻でした。「Monkey Gone to Heaven」「Debaser」「Here Comes Your Man」など、珠玉のナンバーを生で聴けるとは思っていなかったわけだから、本当にうれしかった。

 終わった後しばらくボーッとしていたが、ちょっと時間があったので、ホワイトの東京事変を見に行く。行く途中で「丸の内サディスティック」が聞こえてくる。椎名林檎のソロを結構やっていたが、シングルになるという「群青日和」が格好良かった。メンバーが作った曲らしいのですが、見事に林檎節でした。

 グリーンに再び戻って、さぁルー・リードですよ。Pixiesと共に生きているうちに観れるとは思っていなかったよ。これがまさに「戦慄のステージ」と言ってもよいものでした。

 登場するなり、スタッフに一生懸命指示を出している。PAの調整か何かだろうか、しきりに手を挙げている。「帰る」とか言わないだろうか心配だ。

 最近の作品からの曲だと思うのですが、知らない曲がほとんどでした。しかし、1曲1曲の張りつめた緊張感、もう半端ではありません。時に静かに、時に激しく、そのたびに何か飲み込まれそうになる感覚。今までライヴで体験したことのないものでした。

 時々メンバーの演奏をじっと見つめるルー。ルー・リードに見つめられながら演奏するメンバー、どんな気持ちなんだろう?ちょっとでも間違えると殴られるんじゃないだろうか、そんな心配さえしてしまいます。そして当の本人は、相変わらずたどたどしい感じのギターを弾いていますが、これがロックなんだなぁ。これは見ないと分からない。

 個人的には「Newyork」の中の「Romeo Had Juliette」が聴けて嬉しかった。一番好きなアルバムだから。そして、アンコールでは「Sweet Jane」をやったけど、あくまで現在の自分の作品をしっかりとやった事が素晴らしいと思う。

 あまりに疲れてしまい、ベースメント・ジャックスはパス。フラフラとテントに戻り冷水シャワーを浴び、寝ました。

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